
「私立霧舎学園ミステリ白書」と題されたシリーズで、羽月琴葉と小日向棚彦の二人のラブラブ(?)カップルが活躍するシリーズなのですが、琴葉のお母さんの羽月倫子さんはれっきとした警視さんだったりして、ドタバタコメディーの様相も呈することがあります。
今回は京都の町を琴葉が舞妓さんの格好をして練り歩く、というマニア心をくすぐる仕立てになっているのです。が、残念ながら個人的な趣味で言うと外れに属します。まず、琴葉と棚彦が常に別行動をとっている、というのが活気を失わせています。また、京都の町のあちこちに貼られたプリクラと、そこにかかれた暗号とも言えない、数字と将棋の駒の組み合わせ、という暗号が、ちょっと謎としては乗り切れなかった。さらに霧舎学園のほうでは頭木保という、ライバルのエリート探偵がいたりするのですが、こちらも別行動で推理を進める、というやや複雑な構成になっていて、電車に揺られながらでのゆるい頭では、ちょっと置いてかれがちな部分が多かったと思います。
羽月ママの活躍も限定的で、棚彦の活躍も終盤のごくわずかな時間。代わりに琴葉と行動を共にする「なるさん」という人が頭木保によく似た、でき過ぎの探偵役で、彼に魅力が今一つなかったのも原因かも知れません。ただ、暗号好きの人にはヒットするかも知れないのでお断りしておきます。