NHKの名物番組として、いろんなパロディーを生み出した「プロジェクトX」が終了する予定のようですな。ときどきあの番組の田口トモロヲさんの語りを聞くと、「明らかにふざけてやってるな」と思うような、意味あり気に深刻ぶったナレーションがあって、いつの間にか「セルフパロディー」芸の世界に行ってしまった感じはしていました。

そもそも、ああいう「一見地味な題材が意外に感動的なことがある」というのがメインコンセプトの番組で、そうそう名作が生まれるわけはないし、そうそう感動的である訳もないのです。あるいは、当事者にとっては大事件でも、社会的、世間的にはそうでもない、というのが現実であったりしますよね。

だから、毎回感動的に描こう、というのは自己矛盾でしかないのですが、それを大まじめにやってしまおうという愚直さがすでに十分に「プロジェクトX」的であるわけですな。番組がセルフパロディー化していったのも仕方ないのだと思います。

また、誰かを褒め称えて、持ち上げることで、「誉めてもらえない人」がひがむ、というのもこういう番組の特徴で、ライバル会社、競り負けた歴史の敗者、あるいは主人公の敗者によって不当に貶められてしまう勝者、というものが無数に生まれるところが、この番組の根本的な弱点でもあります。

ひっそりとあまり気づかれずに細々と続けられれば良かったのでしょうが、評判をとりすぎるというのも考えものです。分相応に、というのはなかなか難しいものです。