LDで持っていた未開封の「ロスト・チルドレン」を見た。
監督は「デリカテッセン」のジャン=ピエール・ジュネ。95年作品だからもう10年前か。近未来のハズなのに、機械などがずいぶん古めかしい、パラレルワールドのお話。
貧民街のような港町のあちこちで子供がさらわれていて、それを買い付けているのが夢を見ることの出来ないクローンたち。誰のクローンだかも分からない、中途半端な存在なのだけど、夢を見ないことで急速に歳をとってしまう。それを防ぐために子供たちの夢を盗もうとする、という話。彼らに買収されて悪事を働く組織に一つ目教というのがあって、これは片目をブラウン管のようなレンズアイに差し替えて世界を見るという不思議な人々。
主人公は、この組織に弟ダンレーを盗まれた怪力男ワン。演じているのは「薔薇の名前」「美女と野獣」などで異形のキャラクターを得意とするロン・パールマン。ここでもちょっと知恵が足りないけど純粋な大男を演じている。彼と出会って、次第に魅かれていくヒロインが、子供のスリ集団のリーダー・ミエット。演じているのはなんと9歳のジュディット・ビッテ。当時はエリザベス・テイラーの再来とうたわれたらしいが、その後他の映画では活躍した様子がないから、もしかしたら早熟ゆえの悲劇を味わっているのかも知れない。このワンとミエットの心の交流を縦軸にストーリーは進んでゆく。
途中でからんでくる重要なキャラクターに、クローンの生みの親である潜水夫がいて、彼はクローンの6つ子も演じているので一番忙しかったはず。しかも小人の体になっているから、一体どうやって合成したんだろう。しかも多重合成のカットが異様に多いはず。魚眼レンズで俯瞰でとることでうまくごまかしてるのかな。
他にも子供のスリ集団を使って悪事を企むシャム双生児の姉妹がでてきたり、もうフリークスのオンパレード。個人的にはこの双子の料理シーンが非常に気に入った。とはいえ、これは合成でも何でもなく、姉妹を別人が演じている。名前も全然違うんだけど、双子ですらないのかな。それとも結婚して名字が変わっただけ?
あとおいしいのが、この双子をサーカスで使っていたノミのサーカス団の団長。ノミの名演技も堪能できる。
「デリカテッセン」は、その閉鎖された世界観そのものが新鮮だったため、あまり広い絵が見えなくてもさほど気にならないのだけど、今回は港町、ということでたぶん街一つをまるまるセットとして作っている。いろいろと頑張っているのは分かるんだけど、その苦労がばれてしまうだけにこの世界になじむのには時間がかかった。階段がやたら多いとか、水が下に見えるカットが多くて雰囲気はあるんだけど。
冒頭のサンタ大発生の悪夢とか、つかみはいいんだけど、ワンの弟誘拐シーンとか、わざとゆっくり歩いてるみたいにも見えるし、ワンの親方冒頭で刺されてうんうんうなってるのに誘拐のどさくさに紛れて放ったらかしだし、ややゴタゴタ感がある。
後半になってミエットとワンの話しに絞られてから見えやすくなったけど、一つ目教の集会への乱入シーンや、ミエットと子供スリ集団の離反など、プロット上重要なシーンなのに、ちょっとご都合主義的な進み方をしているところはある。
最後に潜水夫の博士が基地を破壊する理由も本当はよくわからないし、そういうドタバタの中で物語は唐突に終わっていく。
まあ、ファンタジーを見せることが目的で、筋は二の次、という割り切りが出来ればこれはこれでわくわくする世界だし、ワンとミエットのドキドキするシーンがあったりして(もちろんエロではない)、映画の楽しみは損なわれていないのだけど、これだけの道具立てがあればもっとわくわくさせてくれても良かったかも、と思う部分はあるか。
音楽はまたしてもアンジェロ・バダラメンティだった。
監督は「デリカテッセン」のジャン=ピエール・ジュネ。95年作品だからもう10年前か。近未来のハズなのに、機械などがずいぶん古めかしい、パラレルワールドのお話。
貧民街のような港町のあちこちで子供がさらわれていて、それを買い付けているのが夢を見ることの出来ないクローンたち。誰のクローンだかも分からない、中途半端な存在なのだけど、夢を見ないことで急速に歳をとってしまう。それを防ぐために子供たちの夢を盗もうとする、という話。彼らに買収されて悪事を働く組織に一つ目教というのがあって、これは片目をブラウン管のようなレンズアイに差し替えて世界を見るという不思議な人々。
主人公は、この組織に弟ダンレーを盗まれた怪力男ワン。演じているのは「薔薇の名前」「美女と野獣」などで異形のキャラクターを得意とするロン・パールマン。ここでもちょっと知恵が足りないけど純粋な大男を演じている。彼と出会って、次第に魅かれていくヒロインが、子供のスリ集団のリーダー・ミエット。演じているのはなんと9歳のジュディット・ビッテ。当時はエリザベス・テイラーの再来とうたわれたらしいが、その後他の映画では活躍した様子がないから、もしかしたら早熟ゆえの悲劇を味わっているのかも知れない。このワンとミエットの心の交流を縦軸にストーリーは進んでゆく。
途中でからんでくる重要なキャラクターに、クローンの生みの親である潜水夫がいて、彼はクローンの6つ子も演じているので一番忙しかったはず。しかも小人の体になっているから、一体どうやって合成したんだろう。しかも多重合成のカットが異様に多いはず。魚眼レンズで俯瞰でとることでうまくごまかしてるのかな。
他にも子供のスリ集団を使って悪事を企むシャム双生児の姉妹がでてきたり、もうフリークスのオンパレード。個人的にはこの双子の料理シーンが非常に気に入った。とはいえ、これは合成でも何でもなく、姉妹を別人が演じている。名前も全然違うんだけど、双子ですらないのかな。それとも結婚して名字が変わっただけ?
あとおいしいのが、この双子をサーカスで使っていたノミのサーカス団の団長。ノミの名演技も堪能できる。
「デリカテッセン」は、その閉鎖された世界観そのものが新鮮だったため、あまり広い絵が見えなくてもさほど気にならないのだけど、今回は港町、ということでたぶん街一つをまるまるセットとして作っている。いろいろと頑張っているのは分かるんだけど、その苦労がばれてしまうだけにこの世界になじむのには時間がかかった。階段がやたら多いとか、水が下に見えるカットが多くて雰囲気はあるんだけど。
冒頭のサンタ大発生の悪夢とか、つかみはいいんだけど、ワンの弟誘拐シーンとか、わざとゆっくり歩いてるみたいにも見えるし、ワンの親方冒頭で刺されてうんうんうなってるのに誘拐のどさくさに紛れて放ったらかしだし、ややゴタゴタ感がある。
後半になってミエットとワンの話しに絞られてから見えやすくなったけど、一つ目教の集会への乱入シーンや、ミエットと子供スリ集団の離反など、プロット上重要なシーンなのに、ちょっとご都合主義的な進み方をしているところはある。
最後に潜水夫の博士が基地を破壊する理由も本当はよくわからないし、そういうドタバタの中で物語は唐突に終わっていく。
まあ、ファンタジーを見せることが目的で、筋は二の次、という割り切りが出来ればこれはこれでわくわくする世界だし、ワンとミエットのドキドキするシーンがあったりして(もちろんエロではない)、映画の楽しみは損なわれていないのだけど、これだけの道具立てがあればもっとわくわくさせてくれても良かったかも、と思う部分はあるか。
音楽はまたしてもアンジェロ・バダラメンティだった。