オールナイトでやっている映画の品揃えがあまり良くなくて、仕方なしに見た感のあるこの映画。やっぱり見て後悔した。

まあドキュメンタリータッチ、という手法は「ブレアウィッチ」以降はあり、ということになったのだろうが、記録されたデジカムの映像、という体裁にこだわったが故に映像そのものにキレがなく、だらだらと見せられている感じがしてしまった。もちろん人によってはそれがリアルだ、と言うのもあるかも知れないが、手法と同時にそれによってつづっていくプロットにもう少し論理と謎解きの面白さが加わっていれば、それが生かされたに違いないと思う。

松本まりかは非常に器用に表情を使い分けていたと思う。唯一のプロとして、非常に緊張感を持って演じていたと思うが、日本一の霊能力者「堀なにがし」は、ただの精神異常者にしか見えないので、「もっと早く精神病院に入れるべき」と思ってしまうし、一番最初に出てくる「石井潤子」の怪しさは最後にもう一度登場してもなんだかなぁ、と思ってしまう。要するに「ノロイ」が何を呪おうとしているのか、が見えないので、何をするべきかが分からない。製作者側が何を怖がらせたいのか、もそれに合わせて不明瞭になっているのが消化不良を引き起こしているのだと思う。だからこの映画の中にある恐ろしさは、突発的に発作を起こす人々の演技力によってしか支えられていないのだと思う。

序盤に出てきた超能力少女も、一体何が理由で連れ去られなければならないのか、彼女でなければ果たせなかった役割は、と言われると特に必然性はない。次々に石井潤子の周囲で死んでいく人々についても、どうして死なねばならないのか、については説得力のある論理がほとんど展開されない。たまたま隣に住んでいたから、とか、超能力少女の親だから、なんていうのはただのこじつけにすぎないだろう。伏線を張るだけ張りまくって、最後に受けていないから、これは「張り逃げ」というヤツでしょうか。パート2が出来ても、見ないよ。テレビ番組でやるべき企画だったんじゃないだろうか。

みんな、死んだ、というのがキャッチコピーだったけど、ただ人が死ぬ、というのは恐怖でもなんでもなく、現実に起きていることだからなぁ。