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歌舞伎町の先行オールナイトで見てきました。オリジナルの「ゾンビ」ちゃんと見たかどうか記憶がないのですが、その後を追って出てきたゾンビモノは嫌というほど見ているので、まあ、知らなくても支障はないだろうと思い、思い切って行く事に。24時05分開演というのに会場は結構な入りでしたな。

出演者はデニス・ホッパーとジョン・レグイザモが目立ってましたかな。実はこの二人、「スーパーマリオ」でクッパ大王とルイージとして共演してるんです。久々のご対面でジョン・レグイザモがすっかり悪役顔になってましたが。主演のサイモン・ベイカーはよく知らないんですが。そして先日「スタンダール・シンドローム」で見たばかりのアーシア・アルジェントがヒロイン役で出てましたな。娼婦役ということでだいぶ老け顔になってましたが、終わりに向けてだんだん活気が戻って若返ってましたな。

ストーリーとしては、かいつまんで言うと、どこの国もゾンビ化がだいぶ進んで、フィドラーズグリーンという島の中だけで人間が暮らしているという構図、しかもその中で人間の貧富の差が進んで、うまいことやったデニス・ホッパーが甘い汁を吸っているという役どころなんですな。で、その中で仲間割れちゅうか権力争いなど起こって、恐喝事件など起きるのですが、それと同時に人間に一方的に駆逐される立場だったのろまのゾンビたちが少しずつ知恵をつけ始める、というお話ですな。

全体を見終わって、結構面白かった、と思ったりしたんですが、ストーリーを思いだそうとすると、いかんせん大してない。デニス・ホッパーがどうやってのし上がったのかとか、あんなにお金もっていったい何を買ってるんだろうとか、エネルギーはどこから供給されてるんだろうとか、下層民の暮らしはどう厳しいんだろうとか、そういう世紀末的社会構造の仕組みについてはほとんど説得力がない。

じゃあ何を見てたんだろうというと、これはもうゾンビの「2001年」なんだと思いましたな。手にただ持ってただけの得物を次第に使いこなして、銃を撃ったり、包丁で人を切ったり、壁をブチやぶったりと、集団として知恵をつけていくようすをドキュメント的に目撃していく映画なのです。もう「2001年」の猿みたいなもんです。最後にゾンビたちに襲われる上流階級の人々のなんと無力な事。いつのまにかゾンビたちに「よしいけ」とか「あの偉そうなやつらに復讐しろ」と声援を送ってしまっている自分に気づくのですな。

個人的圧巻シーンはゾンビの水泳教室。それまで泳げなかったはずの連中が次々と海を渡って水中から頭をぬっと出すシーンがあるんですが、もうタイミングのずれ方などが絶妙で恐ろしい。たぶん下手なCGの小細工はせずに殺戮シーンなど人形をうまい事つかってやってるんだと思いますが、明かりの使い方が絶妙でわざとらしさがない。あと音楽の使い方もうまいんで、これはくると分かっていても結構ドキドキしますな。

スプラッタがダメな人は見ないでくださいよ。