この季節なのでどうしてもスイカを目にする。職場でも誰かが買ってきたりもらったりすると必ずおすそ分けが来るのでいただくことも多い。果物について考えた。

日本では果物の王様がマンゴーだったりスターフルーツだったりと言われると、やはり「ちょっと違う」と感じる人が多いだろう。昔は「菓子」といえば果物のことだった、と言われるぐらい、甘味の代表だった果物だが、語源的には「くだ」のある物、つまり水分の多いものを本来は指しているようだ。

個人的にはスイカもすきなのだが、不必要に汁がたれるのをうまく回避できず、悔いの多い食べ物の一つでもある。個人的に果物の理想を体現しているのはどちらかというと、「梨」の類である。

多くの人はどうだろう、同じ形をした果物ならば「梨」より「りんご」の方がおいしい物だという感覚だろうか?種類にもよるかも知れないが、個人的には「りんご」はやや品種による自由度が高く、これが究極のりんご、というイメージを確立したような味はないように思う。それに比べるといわゆる西洋梨の甘ったるさはこの際除外して考えると、「20世紀」以降の梨の品種改良および進化は比較的緩やかで、しかも味の触れ幅が小さく、しかも高レベルをキープしているように思うのだ。

個人的なお気に入りは「幸水」とか「豊水」とかの「水」系である。やはり水分を多く含む果物のほうが個人的にはしっくり来るらしい。梨はシーズンも短いので、思いっきり冷やしたものに丸ごとかぶりつく爽快さは比べるものがない。

個人的にもう一つ分からないのはメロンである。マンガでは高級フルーツのイメージが強いが、甘ったるいだけのような気もする。プリンスメロンで最初に慣らされて、夕張メロン、マスクメロンへと次第に移行したせいか、味そのものへの絶対的評価もそれほど高くない。

「ああ、負けた」と思った瞬間は、ハーゲンダッツのメロンアイスを開けた瞬間である。なんと、洋物のメロンアイスはオレンジ色をしているのだ。それに比べて日本はソーダからアイス、飴玉に至るまで、メロン味のものは緑と決めてかかっているようだ。よく考えたら緑というのは皮の色に過ぎないではないか。所詮日本人は、メロンなぞ、外側から眺めておれ、とハーゲンダッツが笑っているような気がする。