
「Peaty」の方は、女子高生をこういう形で使うのか、という意味での驚きと新鮮さがあった。編集によるマスゲーム的処理や背景の雲の形の変化、という意味でのメリハリの付け方が非常にうまくできている。振り付けを高校生活での日常に合わせて行っているのが非常に効果を上げていて、特に教室での鉛筆を曲げようとするところやほおづえをついて居眠りするシーンなど、いままで誰もやろうとしなかった「コロンブスの卵」的な発想のキレがあると思った。終盤にただ女子高生と戯れているだけのようなアドリブっぽいカットが幾つが混じってくるのだが、作品としては、この辺はもう少し作り込んで欲しかったかも知れない。
「彗星」は、これに比べるとちょっと出来がよくないと思った。縦軸が「彗星を見たい」と言う社員と「そんなことより仕事だ」と言う頭の固い部長、という構図で、部長が童心を取り戻す(子供に変身する)までを描いているのだが、それほど部長への思い入れを持てない、というのも弱点になっている。
ロケーションが幾つにも飛んでいるのもちょっと目移りしてしまう原因になっているかも知れない。巨大なレーダーの構図は面白いが、住宅展示場はどうだろうか。会社の室内も、デザイン性はもう一つで、「Peaty」の校舎に比べるとだいぶ見劣りする。振り付けも曲の雰囲気に比べるとどうだろうか。
一番個人的に気に入ったのはトレーラーの上で伸びをしているカットだった。