知人がディズニー関係の仕事をしているので、今日のお題は「ディズニー」。

ディズニーランドやディズニーシーができ、ビデオのセールスなども伸びてきて、ずいぶんキャラクター商法では一人勝ちの様相を呈してきたが、1970年代ごろは、それほどでもなかったように思う。いやむしろ、その後国内で開発されたキティちゃんや、スヌーピーなどのピーナッツ関係のキャラクターの方が人気があったような印象がある。

そもそもは、手塚治虫がかつてのディズニーのアニメーションを見て、モーレツにあこがれ、ライバル視した、というのがディズニーに対する日本人の姿勢を決定づけたかも知れない。それ以降、日本には手塚治虫と虫プロのアニメがあったから、ディズニーに対する渇望はあまりなかった、というのが正確かも知れない。それよりなにより、本家ディズニーのアニメそのものが当時は不作だったのだ。

また、日本の市場に対してディズニーのキャラクターイメージを売り込むスポークスマンが不在だったのかも知れない。それこそマクドナルドや、ケンタッキー・フライドチキンがピエロのロナルドやカーネル・サンダースを投入して企業イメージを広めていた時期に、ディズニーは手をこまねいていただけのように思える。

その中で、わずかにディズニーのキャラクターと接する機会を作っていたのは、テレビ東京系で放映されていた購入枠のアニメであった。10分程度の短編がいくつか放送されるだけの枠だったが、バグスバニーなどと並んで面白かったと思う。

で、何が言いたいのか。不満なのである。あの、ネズミがディズニーの主役であるかのように振る舞っている現状が。確かに、本家ディズニーのキャラクターの中ではあのミッキーマウスはメインキャラクターである。だが、謙虚に自分の胸に聞いてみよう。あのミッキーのどこが魅力的なのだろうか。

正解とも言えない正解を先に言ってしまおう。

自分の記憶の中では、キャラクターとして圧倒的に面白かったのは、ドナルド・ダックなのである。ミッキーは、単なる優等生というか、イイコちゃんキャラで、特に個性も特技もなく、当たり障りのない日常を繰り返すだけのキャラクターで、そこに欲張りで、声が変で、トラブルメーカーのドナルドが入る事で圧倒的におもしろくなった、というのが僕のキャラクター観なのだ。言ってみればミッキーは「モーレツあ太郎」のあ太郎ぐらいの位置づけではないだろうか。このタイトルを聞いてもピンと来ない人でも、赤塚不二夫のあの「ニャロメ」がデビューしたマンガだ、と聞けば納得がいかないだろうか。要するにドナルドはニャロメ並みにブレークしたのである。

その他にもディズニーには名作キャラクターが幾つもある。子鹿のバンビ、耳で空を飛ぶダンボ、CGアニメでハリウッドに返り咲いてからの「美女と野獣」「リトルマーメイド」「アラディン」、枚挙にいとまがない。

ミッキーには、主演したといえる映画すら、ほとんどないではないか。わずかにあるといえば「ファンタジア」ぐらいだが、あの場合主役は音楽であって、ミッキーは狂言回しにすぎない。

だから不満なのである。日本全国の大多数の人々が疑いもなしに唯々諾々とあのネズミをディズニー世界の主役として受け入れていることに。ミッキーの自慢できるものといえば、ミニーというかわいい彼女がいる事ぐらいか…。あ、だから余計気に入らない。

だから、ディズニー好きの皆さん、もう一度胸に手を当てて考えてみませんか。本当に魅力的なのは誰か?

…いや、別にグーフィーでもいいですけど。あれ、犬ですよ。ただの。