テイラー・デインという女性歌手をご存知の方は最近少ないかも知れない。1980年代後半から90年代前半が全盛だった、と言い切ってしまうにはちょっとためらいがあるが、最近は動向があまり伝わってこない。オフィシャルのサイトはまだ健在だから、ライブシンガーとしては十分に現役なのだと思う。
白人だがかなり強い声を持ったR&Bシンガーで、お姉さまの色気ムンムンのボーカルスタイルは、ちょっと日本にはいないタイプ。美人とは言えないが、歌唱力、パフォーマンスとが合わさるとなんとも言えない魅力になる。彼女のビデオコレクションのLD"Twists Of Fate"を輸入盤で手に入れた。
アルバムとしては「You Can't Fight Fate」が発売された直後の物で、デビュー後からはその頃までのビデオクリップのうち、主なものをフィーチャーしつつ、新しいものはメイキングまで少し付いている。本人インタビューも若干。
出来がいいのは、
危ないハートビートWith Every Beat of My Heart,
愛に帰りたいLove Will Lead You Back,
愛のシェルターI'll Be Your Shelter,
ハート・オブ・ストーンHeart Of Stone~石の心
の4曲だろう。
「危ないハートビート」は、新婚カップルが町中で情熱的に抱きあう姿と窓拭きのおじさんがテイラー・デインの姿に見取れる様子、窓にとまった鳩、犬、などの要素をテンポよくまとめ上げた佳作。ブラスの合いの手が心地よい。テイラーの歌う姿だけでもかなり魅力的。
「愛に帰りたい」は訳としては間違っている。素直に受けとれば女の子が男に帰ってきて、と懇願する内容と勘違いされそうだが、実は全然違って、「あんたは一回は私の側を出ていったけど、それはあなたが成長するために必要なの。待っててあげるからいつかは絶対あたしの元に帰ってくるのよ」と呪文のように繰り返す、かなり情念に満ちた曲である。タラコ唇でカメラ向きにこう歌われると、ちょっと怖くて「はい、必ず帰ってきます」と洗脳されてしまいそうだ。ビデオはセピアに染めたモノクロ映像をレターボックスに切り取っている。何カットか編集のつながりがよくないように思うが、しっとりと歌い上げたバラードの力に圧倒されて細かいことは気にならない。
「愛のシェルター」は、メイキングも力が入っている。野外駐車場の真ん中のステージにパフォーマーとして登場して嵐が来ても歌の力でくるんであげる、みたいな趣旨である。雷か何かで明かりが落ちた時に、男どもが車のヘッドライトで彼女を照らしてあげる、というお礼参りつきである。パフォーマンスの見せ方ではちょっと後退しているかも知れない。
「ハート・オブ・ストーン」は、またスタジオ演奏シーンに帰っての佳作である。色使いが非常に鮮やかで、氷の彫刻芸術を非常に上手に使っている。最新のCGなどは使っていないが、ちょっとした特撮テクニックも駆使して、おもしろい。氷の使い方は、中島美嘉の「雪の華」をはるかに先取りしている。
いまやもう入手困難な物なので、見たいと言われても困ってしまうのだが、チャンスがある方にはお勧めする。アルバムは今でも入手可能なものがたくさんあるので、どうぞ。
白人だがかなり強い声を持ったR&Bシンガーで、お姉さまの色気ムンムンのボーカルスタイルは、ちょっと日本にはいないタイプ。美人とは言えないが、歌唱力、パフォーマンスとが合わさるとなんとも言えない魅力になる。彼女のビデオコレクションのLD"Twists Of Fate"を輸入盤で手に入れた。
アルバムとしては「You Can't Fight Fate」が発売された直後の物で、デビュー後からはその頃までのビデオクリップのうち、主なものをフィーチャーしつつ、新しいものはメイキングまで少し付いている。本人インタビューも若干。
出来がいいのは、
危ないハートビートWith Every Beat of My Heart,
愛に帰りたいLove Will Lead You Back,
愛のシェルターI'll Be Your Shelter,
ハート・オブ・ストーンHeart Of Stone~石の心
の4曲だろう。
「危ないハートビート」は、新婚カップルが町中で情熱的に抱きあう姿と窓拭きのおじさんがテイラー・デインの姿に見取れる様子、窓にとまった鳩、犬、などの要素をテンポよくまとめ上げた佳作。ブラスの合いの手が心地よい。テイラーの歌う姿だけでもかなり魅力的。
「愛に帰りたい」は訳としては間違っている。素直に受けとれば女の子が男に帰ってきて、と懇願する内容と勘違いされそうだが、実は全然違って、「あんたは一回は私の側を出ていったけど、それはあなたが成長するために必要なの。待っててあげるからいつかは絶対あたしの元に帰ってくるのよ」と呪文のように繰り返す、かなり情念に満ちた曲である。タラコ唇でカメラ向きにこう歌われると、ちょっと怖くて「はい、必ず帰ってきます」と洗脳されてしまいそうだ。ビデオはセピアに染めたモノクロ映像をレターボックスに切り取っている。何カットか編集のつながりがよくないように思うが、しっとりと歌い上げたバラードの力に圧倒されて細かいことは気にならない。
「愛のシェルター」は、メイキングも力が入っている。野外駐車場の真ん中のステージにパフォーマーとして登場して嵐が来ても歌の力でくるんであげる、みたいな趣旨である。雷か何かで明かりが落ちた時に、男どもが車のヘッドライトで彼女を照らしてあげる、というお礼参りつきである。パフォーマンスの見せ方ではちょっと後退しているかも知れない。
「ハート・オブ・ストーン」は、またスタジオ演奏シーンに帰っての佳作である。色使いが非常に鮮やかで、氷の彫刻芸術を非常に上手に使っている。最新のCGなどは使っていないが、ちょっとした特撮テクニックも駆使して、おもしろい。氷の使い方は、中島美嘉の「雪の華」をはるかに先取りしている。
いまやもう入手困難な物なので、見たいと言われても困ってしまうのだが、チャンスがある方にはお勧めする。アルバムは今でも入手可能なものがたくさんあるので、どうぞ。