いままであまり一生懸命見ていなかったウィンブルドンだが、シャラポワ対ウィリアムズはちょっと見とれた。

序盤の戦いから、若干自力に勝るウィリアムズのシュアで隙のないストロークにシャラポワが押されかけていたのが分かった。どうなるか分からないぞ、と思わせたのは第1セット終盤にブレイクバックしたとき。ウィリアムズのサーブのトスアップが安定しなかったりしたので、後半流れをつかんで、体力勝負に持ち込めば、若さのシャラポワかも、とは思わせた。

だが、タイブレークの末落とした第1セットは案外シャラポワから集中力をそいで行ったようだ。少しずつキメの荒いショットが目立ちだし、第2セットは案外早く崩れてしまった。

どういうスポーツでも、若手対ベテランでは互いに掛け合ったプレッシャーにどう適応して我慢できるか、が勝負の分かれ目になるようだ。どこに打っても返されそうな気がすれば多少無理をしてでも厳しいところを攻めなければ、と思いミスの元になる。自分が苦しいとき相手も苦しい、という現実を信じることができるかどうか。

後半やや自滅したシャラポワは芝での連勝が22でストップだそうだ。だがシャラポワには時間がある。多少荒っぽいところを後半見せても、それは将来のスーパーショットのための布石になる。いまこの年齢で、こういう完成されたプレーヤーと勝負できたことを幸運に思うべきなのだろう。「スラムダンク」で言うように、「負けたことがある」というのが財産になる日が案外すぐに来そうである。