こないだまで、マラドーナはしょうがないヤツだ、と思っていた。そのプレーぶりは不世出の天才だったが、お金と名声を手に入れるにつれて典型的な堕落をし、麻薬、薬物、肥満と、サッカー選手にこうなって欲しくはないというありとあらゆる負のイメージをまといながら、限りなく転落し続ける人物。

それに比べて「あの人は立派だ」とずっと思ってきた。元祖王様ペレである。いまでも体形は往年を彷彿とさせるし、ワールドカップのブラジル戦では必ず顔がテレビに映るし、なにより品格がある。「白いペレ」などと言われたマラドーナはだいぶそれより見劣りするなぁ、と思ってきた。

そしたら今日の記事である。「ペレの息子暗殺の危機」…。てっきり、有名税としての恐喝の対象になったのかと思って同情気味に記事を読んでみたら、なんのことはない、ペレの息子本人、麻薬の密売組織と深く関わり、今や獄中の人らしい。暗殺されそうなのは、口封じのためだそうだ。

まあ、息子の犯罪に父親は関係ないのかも知れない。だが偉大なサッカーのイコン足り続けるために払われた犠牲は、誰にとっても小さなものではないのかも知れない。