西尾維新のモノを書くペースというのは、ちょっと常軌を逸していると思うのだが、一日に80枚だか100枚だかを自らに課して、しかもそれを達成してしまうらしい。まあ、彼の出世作というか代表作は戯言使いのいーちゃんシリーズなのだろうと思うが、いま最終章が絶好調執筆中で、しかも3巻組で、そのうちの中巻まで出ている、という状況で、読む方としてはぜひ下巻が出そろってから一気に3冊読んでやりたいと思うものだから、タイミングとしてはそのすき間を縫って出たファウストのVol.5と、この「りすか」の2巻目を読むのが、一番喜ばしいのでは。
ちょっと間違ったのは、ファウストのVol.5を先に読んでしまったことなんだけど、この「りすか」2巻はその前のファウストVol.3&4に掲載された2本と、書き下ろし1章からなっている。細かい改定・書き直しがあるのかは不勉強で知らないが、この書き下ろしが実は結構重要な部分になっている。とはいえ、順番を間違えて読み飛ばしても、それなりに成立するようにはなっている。というのは、この短編第六話「出征!」は供犠創貴が、ただの無気力な少年から、いかに世界を変革する王を指向する強い少年に変貌したか、の鍵をにぎる人物が登場して、そして忽然と消えているからである。その人物は、母親の供犠きずな。何度目かの継母でありながら、魔法使いを自称し、創貴の将来を透視した人物でもある。
他の話に比べて筆致はややゆるいか、とも思えるし、魔法使いとの対決もなく、りすかもほとんど登場しない、この供犠家の日常は、それゆえに主人公供犠創貴の内省をナイーブに描いていると言えるかもしれない。これを読まずに次のファウストを読むと、きっと後悔すると思う。
ちょっと間違ったのは、ファウストのVol.5を先に読んでしまったことなんだけど、この「りすか」2巻はその前のファウストVol.3&4に掲載された2本と、書き下ろし1章からなっている。細かい改定・書き直しがあるのかは不勉強で知らないが、この書き下ろしが実は結構重要な部分になっている。とはいえ、順番を間違えて読み飛ばしても、それなりに成立するようにはなっている。というのは、この短編第六話「出征!」は供犠創貴が、ただの無気力な少年から、いかに世界を変革する王を指向する強い少年に変貌したか、の鍵をにぎる人物が登場して、そして忽然と消えているからである。その人物は、母親の供犠きずな。何度目かの継母でありながら、魔法使いを自称し、創貴の将来を透視した人物でもある。
他の話に比べて筆致はややゆるいか、とも思えるし、魔法使いとの対決もなく、りすかもほとんど登場しない、この供犠家の日常は、それゆえに主人公供犠創貴の内省をナイーブに描いていると言えるかもしれない。これを読まずに次のファウストを読むと、きっと後悔すると思う。