おそらく今年最後に買ったCDとなる

福間創「THIS IS OUR MUSIC」「anbi-valance1」

そのCDを聴いた感想のような日記のようなもの。。


私が福間さんの存在を知ったのは、彼が亡くなられたときだった。

今年の元旦に病気で亡くなった。

私は、かつて福間さんと一緒に活動していた平沢進によるコメントで知った。

彼は元P-MODELメンバーでその後YAPOOS、ケラさんとも一緒にやってる。

今回その福間さんのオンラインショップが運営を終了するとの知らせを聞き、購入に至った。

You Tubeで曲紹介はあったけど、ちゃんと聴くのは初めて。環境音楽のような感じだろうか。あ、今はアンビエントとか言うの?こうゆう音楽はあまり聴いたことがなく、よくわからないまま聴く。


「THIS IS OUR MUSIC」。

こちらが福間さんの最後の作品となる。

彼は改訂期の元P-MODELメンバーであり、このアルバムにはそのメンバーである平沢さんと小西健司さんが参加している。

なのでP-MODELぽさを期待したのだけど、全く違った。当たり前か。これは福間さんのソロ。

福間さんらしさがどのようなものかは私にはわからないけど、ポストに入ったその郵便物を取り出したとき、美しい!と思った。

福間さんてきっとこんな人なんだろうなって感じた。プチプチの加工してある白い外袋、ブックオフオンラインとかでCDを買っても同じような袋に入ってくるけど、全然違う印象を受ける。

なんか、真っ白でイノセント〜な印象。

そこに福間さんの名前と、福間さんのサイト?オンラインショップ名?がアルファベットで書かれたシールが貼ってあった。

それだけなんだけど、きれいに真っ直ぐにあるべき場所に貼ってある感じ。


そして音について。ゴォーという予想だにしなかった音が響き続け、少し怯むも次第に慣れてくる。その音が止むとまた聞いたことあるような、ないような音が聞こえる。そしてまた別の音に耳を澄まし、だんだんその世界に引き込まれていく。


薄暗くて静かな無機質空間に、一人ポンと放り出されそこを彷徨ってる。でも怖いとかではなく、どんどん深く入って行ってただただ自分と向き合うイメージそんな風景を感じた。正直、どこからどこまでが一曲なのかとかわからないし、どこか他の場所で聴こえてきても、あ、あの曲!ってタイトルを言えることはないと思う。

でもその音は不思議とずっと聴いてられる音だった。


ふとCDスリーブの中からライナーノーツを発見した。そこにはソロ活動を始めた経緯が書かれていた。

それがまたびっくりで…まず始めに書かれていたのはMRIについて。数年前に初めてMRIを受けて衝撃を受けその体験を音楽にしたいと。

ここでは簡単にしか書かないけど、私はそれを読んで心がギュンとした。おそらく数年前から病気と闘っていたのだろう。MRIの機械から聴こえる偶然の音の共鳴に感動したと。

それからこのCDを作るにあたり、自分の意図を排除し、音楽的技法のようなものかな、お決まりの展開のようなものだろうか、そんなものを排除した。そこにとても時間がかかったと。そんなような事が書かれていた。


それって、禅のような。仏教なんかもそんな教えあるよね。自分への執着を捨てる、こだわりを捨てて生きるって難しい。ただただ宇宙の中を漂う存在の1つになるって事?わからない。わからなくて、すごく難しいけど、いつかそんな風になれたらって思う。

そんなことをやってのけた音楽なんだな、この音は。そして、この作品に参加を依頼したのが平沢さんと小西さんである事。

いろんな思いがよぎる。


きっと福間さんはこの数年間、何度も何度も深く自分の中にもぐり、自分と向き合い、自身が残せる事、残せる音を考えただろう。清廉、整然、無垢。思いつく言葉を並べてもどこか違うと思い、表現できないのだけど、確かにあの封筒が、届いたときに感じた福間さんは福間さんなのだと思う。


このCDを届けてくれた福間創さんへ感謝を込めて。

ありがとう。