今日で神戸連続児童殺傷事件から23年が過ぎました。

いわゆる「少年A」による事件です。

 

神戸市須磨区で1997年2~3月、小学生4人が殴られるなどの連続通り魔事件が発生し、3月23日に山下彩花ちゃん(当時10歳)が死亡しました。

 

5月27日には土師淳君(当時11歳)の遺体の一部が「酒鬼薔薇聖斗」を名乗る挑戦状とともに学校の門の上で発見されました。

 

1カ月後には兵庫県警によって中学3年で14歳だった加害男性(少年A)を逮捕。関東医療少年院に収容されたAは2004年3月に仮退院、2005年1月に本退院しました。

 

私は2004年4月、「少年A 矯正2500日全記録」(文藝春秋社)という本を出版しました。

 

事件後、少年審判を経て、少年院に入所した彼がどのような矯正教育を施されてきたのか、当時全く公になっていない「鉄のカーテン」とされている矯正教育の現場を、限界まで取材してまとめたものです。

 

また、それから20年の月日が経ち、数年前、Aは遺族に理解を求めずに出版しました。私はAの本退院後もこの事件の取材を続け、「元少年Aの殺意は消えたのか」(イーストプレス)で分析をしています。

 

当時を思い返すと、「普通の子」とされている少年が何故、このような事件を起こしてしまうのかという疑問を持って無我夢中で取材をしていました。

 

「普通の子」が突然、殺意を抱き、殺害の加害者になるなどという不可解な事件がたびたび起こるようになってきました。

 

その後は、原因を究明することにより犯罪を抑止できるのではないかという気持ちで、このような不可解な事件を追いかけて取材するようになり、これまでの多くの不可解な事件を取材した、となりの少年少女A(河出書房新社)を出版しました。

 

事件の記憶は月日と共に風化していくかもしれません。しかし、遺族や関係者にとっては、受けた傷は時間とともにもっと深く、彫刻刀でえぐられたものとしてずっと残っており、風化することは決してありません。

 

また、最近では新型コロナの影響で、自粛を余儀なくされてきた少年たちに対する心のケアの問題も出てきています。

 

これまでのことを教訓にして、二度とこのような悲しい事件が起こらないことを願うばかりです。