はじめまして、
わたしはアツコと申します。

 


年齢は丁度60歳になりました。



現在、海辺の小さな町で一人暮らしをしております。



結婚はしておりましたが、
夫とは子供たちが小さい頃、離別しました。



今、子供達は二人とも成人しそれぞれ独立しております。


遠い昔のことになりますが、
私に起こったある出来事をお話ししたいと思います。



ある日、夫が蒸発したんです。

nosh(ナッシュ)

 


そのころ、私達は東京から自動車で2時間くらいの地方に住んでおりました。



8月の終わりごろ、もうすぐ上の子の幼稚園の始業式になるのに
無理に東京の私の実家に連れて行かれました。



「幼稚園が始まっちゃうよ、どうして?」
「用事が済んだら迎えに来るから」
とサッサと実家を後にした姿が最後でした。
思いつめた様子もなく、ニヤニヤ顔だったと記憶しています。



そして蒸発しました。
本当にドロンと消えたんです!



今日は消えた夫が加入していた

生命保険のお話しをさせてください。



何故、夫が私達母子を捨てて消えてしまったのかは、
又別の動画でお話ししたいと思っています。



蒸発後は、それはそれは嵐の如く大変な日々でした。
絶望し泣いている場合じゃなかったのです。



夫の仕事先の上司との話し合い、
夫の部下が離婚届けを預かっていたこと。
借りていた家の後始末、子供の幼稚園の退園etc
そして引っ越し。

 



少し落ち着いたころ、月々2万6000円ほど支払っていた夫の生命保険を解約しようと担当の保険のおばちゃんに連絡をしました。
既に通帳は空っぽにされていたので、未払いも発生していました。
夫はコツコツと子供たちの為に貯めていた貯金を全部引き出していたのです。



隠し立てをする必要もなかったので、
理由を説明し直ぐに解約手続きをしてほしい旨を伝えました。
早くしないと、どんどん未払いが発生しわずかに戻るはずの解約金もなくなってしまいます。



保険のおばちゃんは
「上司と相談するので、少し待ってもらえないかしら」とのこと。
私は「このままだと失効していまうし、子供の為に少しでも解約金が欲しいんです」
しかし、おばちゃんに押し切られ待つことになりました。

ときめきが続く、お花の定期便bloomee(ブルーミー)

 


連絡がきました。
「上司と相談してね、大変だと思うけどこのまま7年間保険を継続してもらってね
 その後、家庭裁判所で失踪したということを認めてもらえれば
 保険金3,000万円が支払われるのよ!」
この提案に一瞬ですが歓喜しました。
本当に3,000万円という大金が手に入ればどんなに助かるでしょう!
子供達を大学に進学させることもできるんです!



しかし、その時の私は
誰に対しても何に対しても疑心暗鬼になっていました。



こんなインチキな話があるのだろうか?

 


保険屋さんは自分の成績が下がるのが嫌なので、こんなことを言っているのでは?

 


まだ職にもついていない私に毎月2万6000円の支払いを7年間もしろと言うのです。
総額にすると約220万円になります。大金です。
はたして、7年後に裁判所は失踪を認めてくれるのでしょうか?



当時、私は23歳でしたが”きちん”とした勤めの経験もなくお金のことは夫任せでした。



今のようにインターネットで個人が何でも簡単に調べられる時代ではありませんでしたし、
10代で2人の子供を産み育てていましたが、社会的にはとても未熟だったのです。



夫の会社からは夫が横領した”使い込み”の金額の請求が
私にくるかもしれないという心配もありました。
それがかなりの金額だったのです。
後に会社は警察に被害届は出さずに内々で処理するとのことで、
私には請求はしないことになりましたが、当時は毎日が緊張の連続でした。



夫が私との結婚前に2度の離婚をしていたことは、知っていました。
会社の上司がどこで調べたのか分かりませんが私に教えてくれたことは
どちらの時も子供が学校に上がる前に失踪しているとのこと。
家族を捨てることは常習犯だったのです。



兎に角、夫に纏わる煩わしい事と早く関りを断ちたかった。
そうしないと小さい子供2人を抱えて再出発できないと思ったのです。



そんな状態だったので、生命保険の解約の手続きを進めてもらいました。
最後まで保険のおばちゃんは
「私が払ってあげたいけどね~そうもいかないからね~」っと言っていました。
本当はいい人だったのかもしれません。



後に、法律を少し学ぶ機会があり、
この事実を知って愕然としました。
家庭裁判所が失踪宣告をし『死亡』とみなされ保険金が支払われることはよくある案件のようです。

行方不明になった親族の7年後の失踪宣告はメジャーだということです。



万が一、生きていたと判明したとしても下記のような法律もあります。

 

 

 

その後、本人が生きていることが判明し失踪宣言の取り消しの手続きがなされた場合、
失踪宣告により直接財産を得た者は、
その取り消しによって権利を失い、
その財産を現存利益の範囲内で返還する義務を負います。
 よって生命保険会社に、受け取った保険金で現存する範囲内で返済義務が生じます。



どういうことか簡単に説明しますと、



『死亡』とみなされた人が生きていて『死亡』を取り消されたら、
受け取った財産(不動産・貯金・生命保険金など)は返さなければならない。



もし、私が保険金3,000万円受け取っていたとしても保険会社に返金の義務があるのです。
しかし、現存する範囲内で返済すればいいのです。
使ってしまったのであれば、返さなくていいのです。



そして、生きていることが判明されなければ、そんな心配さえしなくてよかったのです。
 

 


私は本当に無知でした。
当時、もっと詳しく自分で調べれば良かったと思います。
後悔しかありません・・・



分かっていたら、7年間どうにか2万6000円支払い3,000万円を手にしていたのに!



みなさんにお話しできないような苦労も沢山してきました。
このお金があれば、少しくらいは楽ができたかもしれません。
子供たちの人生も変わっていたかもしれません。
私の責任です。
 

 

 


月日が流れ、23歳だった私は60歳になりました。
もう数十年前の出来事ですが、
思い出す度、若かったとはいえ自分の愚かさに涙がでます。
子供達にも、しなくてもいい苦労をさせてしまったのですから・・・



「本当にごめんね」
2人はこの事実を知りません。



慰謝料や養育費どころか借金まで負わされそうになりましたが、
良かったこともあります。

 


子供たちの容姿は一見夫に似ているところはないようで、
娘が色白なところ、
娘も息子も夫譲りの身体もメンタルも鋼なのです。
視力は二人とも2.0以上見えるそうです。
私は子供のころからド近眼なので羨ましいかぎりです。
息子は今は退職していますが、
自衛隊で狙撃手をしておりまして何度も大会で優勝しています。
それも並外れた視力の良さのお陰です。(銃器の癖や風の計算も必要ですが)



たとえ、この世界が戦争や災害などで社会も秩序も崩壊して
『マッドマックス』や『北斗の拳』のような時代になっても
2人の子供たちは生き延びていける図太さがあると思っています。
心身とも丈夫なことも財産だと思えば少しは気が晴れます。



冒頭で一人暮らしと申しましたが、
正確には一人と一匹暮らしです。
アメブロでブログを始めるきっかけをくれた
私の相棒、猫の『テンちゃん』です。



これから私の人生や思っていることなどBlogにしていきたいと思っています。
ドジな60歳アツコとテンちゃんをどうぞよろしくお願いします。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

 

nosh(ナッシュ)