幸せになる覚悟 | あなたの魅力をたおやかに咲かせる札幌着付け師佐藤敦子オフィシャルブログ

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山野流着装教室 奥伝師範講師 着付師
AFT公認1級色彩コーディネーター
佐藤敦子 アメブログ 札幌 北海道

あなたの魅力を「和」を通じて引き出します。



【幸せになる覚悟】

日本では古来より「白」は神聖な色でした。
人の一生の人生儀礼で「白」は深く関わります。

『生まれたときに着る産着の白』

『死者に着せる死装束の白』

『花嫁衣裳の白』

花嫁衣装の白は
花嫁がこの世のものではないことを表しています。

結婚式は本来、二人が結ばれたことを感謝し
平和な家庭を築いて子孫繁栄をはかっていくことを
神前に誓う厳粛な儀式。

新しい人生の第一歩を踏み出す門出の祝いです。

和装の場合、花嫁は白無垢と呼ばれる真っ白な花嫁衣装を着ますね。

「白」という色は
現代では真っ白のまま嫁ぐ、相手の家の色に染まるように
という説明が一般的です。

しかし、実は本来の意味はそうではありませんでした。

古来、日本では色や模様は
それだけで意味を成すと考えられていました。

赤色はエネルギーが強く、隙のない麻の葉やカゴメの模様も
魔を退散させると信じられ厄除けに使われていました。

和装の結婚式は、白無垢を着て髪型は文金高島田(ぶんきんたかしまだ)に結い上げ
角隠しまたは綿帽子を被ります。
今は、洋装の髪型をする方も増えていますね。



『綿帽子』は外出する際の埃除けや防寒具として用いられていたものが
現代になりウエディングドレスのベールと同様に
「挙式が済むまで花嫁は新郎以外の人に顔を見られないように」
という考えから婚礼にも取り入られるようになったとされています。

文金高島田を結った頭の上にやや深めに被る白い布のことをいい
白無垢だけに合わせる事ができ「奥ゆかしさ」や「初々しさ」を感じることができます。

『角隠し』は「角を隠して従順さを示す」と言う意味があり
白無垢・色打掛・黒振袖などにつけます。
文金高島田(ぶんきんたかしまだ)と呼ばれる
高い髷(まげ)を結った髪の上に頭を覆う形で被る帯状・幅広の布のことを言い
それに「簪(かんざし)」を合わせる事で
「凛」とした風格がある落ち着いた雰囲気を醸し出します。

「角」を隠しているわけです。
「角」のはえたものは鬼。鬼はあの世のものの象徴です。

それが、次に色打掛けに着替えて出てきた時点で「角隠し」が取れます
「角」がなくなり、生まれ変わるのです。
色打掛けの赤色は生まれ変わった赤ちゃんであり、血液の象徴。
その赤い色を身体に取り入れて甦るわけです。
お色直しで赤い色打掛けを着る意味がここにありました。

ですから白い衣裳を着たら、赤い色の衣裳も着る。
もしくはどこかに赤い色を使う。
でないと、生まれた家の子として死んで、
嫁いだ先でも死んだまま鬼でいることになるので
嫁ぎ先でうまくいかなかったり、かかぁ天下になるといわれていたようです。

それが全てだとは思いませんが(笑

つまり
「生家の娘として一度死んで、婚家の嫁として新たに誕生する」
ということです。



花嫁の胸元には
「いざというときは、自分で自分の身を守る」
という意味の懐剣も忍ばせてあります。
昔のお嫁入りはかなりの覚悟が必要だったのだと想像できますね。

「死ぬ覚悟で嫁ぐ」
白無垢には深くて重い意味が隠されているのです。

誰もが大なり小なり「幸せになる覚悟」をして結婚すると思うのです。
でも色々な理由から、それを全うできない時もある。

私は過去に全うできませんでした。
でも、その経験があったからこそ
今の自分があり、たくさんの周りの方の優しさや温かさを
身にしてみてわかるようにもなりました。

そして以前よりも人の辛さや悲しさもわかるようにもなったと思うのです。
その後、今の優しい夫と巡り合えて、再婚することもできました。

大切なのは、その時に、何を学び、何を得ていくのか
自分の成長の糧にできるのか、だと思うのです。

昔も今も白無垢や色打掛を着たり
白いウェデイングドレスや色ドレスを着て

あるいは着ることがなくても

「幸せになる覚悟」
「幸せにする覚悟」は同じだと思うのです。

ただ
「幸せになる」と決めたなら
何かや誰かのせいにしない。
比べない。


幸せを感じるものを見つけ
感謝の気持ちを忘れず
その瞬間を一つ一つ大切に集めていく。

起こることはすべてが自分が選択した結果。

誰でもいつでも

いつからだって

人は幸せになれる。

「幸せになる覚悟」を決めたときから。




写真は、昨年末に北海道神宮で挙式を挙げた
新郎、新婦様のお支度をさせていただいた時の写真です。
写真掲載は、ご本人のご了承を得ております。

とても幸せに満ち溢れていて、美しい花嫁さんと凛々しい花婿さんの
お支度をさせていただいた私達も
たくさんの幸せをお福わけしていただきました。

やはり和装は厳かな気持ちになり、素敵ですね。
ありがとうございました。

お二人の末永いお幸せを心からお祈りしています。



写真撮影  関山亜紗子
ヘアメイク 高橋文子
着付け   佐藤敦子
着付け助手 澤口あゆみ