インドの低価格車

インドのタタ・モーターズが2008年に発表した10万ルピー(当時のレートで約28万円)車「ナノ」は,排気量約620㏄で,エアコンやカーステレオがなく,基本性能のみを追求した低価格車である。コストダウンを図るため,プラスチックが大量に使用されている。インドで最も安い車というイメージは人々に敬遠され売れ行きが悪かったため,2015年に発売された2代目「ナノ」は,19万9千ルピーの価格設定となった。

 

 

インドでは自動車需要も急速に伸びており,年間の国内生産台数は2001年に85万台だったが,2015年には413万台となった。1983年にデリーに進出した日本のスズキとインドの国営企業のマルチ・ウドヨグ社との合弁で,マルチ・スズキが乗用車の生産を開始した。今でも国内シェア1位を誇る。

 

 

 

インドで生産された車は国内販売が主だったが,メキシコやイギリスにも輸出しており,近年ではアフリカの輸出が増えている。一方,拡大するインドの乗用車に対し,日本や韓国の企業が相次いで進出するとともに,現地企業も低価格の小型車の販売を始めるなどして,競争が激化している。