インドの鉱工業

インドの綿織物工場(ムンバイ)

工業化は,ムンバイやアーメダーバードの綿工業のように植民地時代にイギリスとの貿易で始まった。

 

インドはイギリスからの独立後,社会主義的な面と市場経済という自由主義的な面の両方を取り入れた混合経済体制を取り,国内企業の優先化を進めた。こうしたなかで,ジャムシェドプルに製鉄所を建設したタタ財閥を中心に,豊富な資源を利用した重工業が発達した。しかし,国際競争がないなか,次第に経済が停滞するようになり,1991年からは市場開放を行った。貿易・投資の自由化や,公的企業の民営化,財政赤字の削減などが進められ,その結果,民間部門の貯蓄・投資の増大や物価の安定,ICTサービスの成長がみられるようになった。

 

1970年にインド東部のジャムシェドプルにタタ鉄鋼会社が最初の製鉄所を建設した。石炭と鉄鉱石の産地に近く,1948年から始まるダモダル川流域開発公社(DVC)によって多目的ダムが建設されると,インド最大の工業都市に発展した。世界最大の鉄鋼メーカーのアルセロール・ミタル社はインド出身の実業家が所有している。