タイの鉱工業

アジアのデトロイト」を目指したタイでは,税の優遇措置やインフラ整備などを進め,各地に家電や自動車,電子機器などの製造業が多く進出している。タイにとって日本は最大の投資国で,日産自動車は「マーチ」の生産拠点をタイに移し,ASEAN域内の自由貿易の利点を活かした分業生産を行なっている。2011年には,集中豪雨により広範囲で洪水が発生し,部品を製造する工場が被災してサプライチェーン(供給連鎖)が途切れ,関連する多くの企業の製造ラインがストップした。一方,日本のODAも貢献したベトナムからミャンマーまでを結ぶ南部経済回廊などの交通インフラの充実や,関税障壁をゼロにするASEAN経済共同体の発足を受けて,労働集約的な工場をより人件費の低いカンボジアやラオスに移す動きも見られはじめている。