ロレンツォのオイルとスクワラン
LORENZO's OIL という映画をみました。
ALD(副腎白質ジストロフィー)にかかった子供を持ち、遅遅として動かない医学会に業を煮やし独力で何とか治療しようとする夫婦とその子供であるロレンツォの闘病の記録です。
C24~C26の長鎖脂肪酸が分解酵素が無い病気(ALD)のために体内に増えすぎて、脳に蓄積されそれが脳細胞ミエリン(神経細胞を包むさやのようなもの)を溶かしてしまう病気。
夫婦は、世界中の血液中の長鎖脂肪酸に関わる論文を読みあさる。ポーランドの学会誌でねずみの長鎖脂肪酸量を抑制するためにオレイン酸(オリーブオイルより抽出できる)が有効であることを突き止める。
今では食用油に使われるまでになったオレイン酸(炭素数18)だが単体では有毒であり、人体に摂取するためにはオレイン酸グリセリド(末端にグリセリンを付加してオレイン酸を3つ繋げる)にする必要があった。クリーブランドにある化学工場で研究用途で生成されたオレイン酸グリセリドを主役のオドーネ氏の息子のロレンツォに投与したところ、体内の長鎖脂肪酸の量が通常量の4倍から2倍にまで激減した。
しかし、これでは病気の進行を少しおくらせるだけの結果であった。1984年3月にALD発症してから1年後のことである。
2倍にまで減少した長鎖脂肪酸であるがその後、それ以上の進展がみられなかった。オレイン酸が体内の長鎖脂肪酸を減少させるメカニズムを解明しなければ、進展はないとオドーネ夫妻は気づく。
体内のたんぱく質の合成は酵素が行っている。酵素とは反応を促進する触媒のことで、37度近辺で体内の様々な物質の合成をさまざまな酵素が担っている。本来、一般的な化学物質を合成したり分解する温度は触媒の力をかりても150度~200度近辺。これを37度で行うのだから酵素は体内で非常に重要な役割をもつ。
通常C24~26は一定量を超えると人体に有害。
これにC18を加えると、24~26の長鎖脂肪酸が半分に減った。
映画の後半では、ここからさらに人体で無害でありかつ24~26に形の似たC22(エルカ酸:菜種油より抽出できる)を投与し、
体内の合成酵素が「体内には十分に脂肪酸がある」と騙されることを発見。人体は(一定量を超えると)有毒なC24~26を合成しなくなるのでした。
映画の最後には、このロレンツォのオイルを投与され元気に暮らす子どもたちのビデオシーンがいくつも登場する。
素人でも、理屈を理解し、小さな努力を積み重ねれば、大きな難病も克服できることを描いたこの映画は化学に携わる者であってもなくても必見の映画だと思いました。
ちなみに弊社の販売する製品のなかにスクワランというものがあることに気付きました。弊社スクワランの炭素数は22、で原料はチョウザメの肝油です。
ロレンツォのオイルは炭素数18のオレイン酸(グリセリド)4に対し、同22のエルカ酸(グリセリド)1を配合するもの。
私はALDではありませんし、弊社スクワランがロレンツォのオイルと同じものでないことは分かっていますが、それでも「有毒なものに姿を似せた無害なものは有毒物質の生合成を妨げる」という基本原理とこれに愛社精神を加えて、毎日すこしづつ自社製品のスクワランを摂取しようと思っています。