だいたい歯医者さんは遅くても30代の前半の内には開業します。

特に私のようにどこかの大学を出てから編入して歯医者になったりだとか何年も浪人を繰り返して歯科大に入っただとかではないいたって普通のケースであれば尚更、こんな39歳のおじさんになるまで開業しないケースはあまり聞きません。

とはいえ34歳の頃に開業の流れがあったにはありました。

がしかし東京でどうしても勉強したいと思える人を紹介されたので開業ではなく修行の流れに変わってしまったわけですね。

そこで4年間『噛み合わせ』について勉強しました。

師匠が突然いなくなるものですから、その修行も突然の打ち切りとなり開業する運びとなったのですが、まあまあ思うところはいろいろとあれ、そろそろ独立せねばとも感じていたので私としては結果良しです。

そんな寅さん師匠は人としては極まった変わり者でしたが歯医者さんとしては天才でした。

四年間よくよく怒られ・・・いや指導を受けてきたのですが、なかなかに心に刻まれる言葉も多かったですね。

一つの答えを探そうとするな

修行の最初の頃よくそう言われましたね・・・少々しみじみと致します。

患者さんとの会話の中で、レントゲン写真から、触診から、視診から、と、様々なことから現状を把握するための情報を得るのですが、これは〇〇だなとか××だなとか答えを決めてそれに対しての治療を行なう。当たり前なようですがそれが大きな間違いを引き起こす始まりだと言われるのです。

一つの答えを探すより百個の可能性を探せ

百個じゃなくても十個でも五個でもいいんですけど、患者さんの訴えている症状から言えばこの可能性とこの可能性。検査から診ればこの可能性とこの可能性。構造学的に診ればこの可能性とこの可能性。生理学的に診ればこの可能性、病理的に診ればこの可能性。
みたく。

多くの可能性で囲めば限りなく本当の答えに近づくことができるし、もし結果が伴わなかったらすぐに違う可能性からのアプローチに切り替えることができるし応用がききますよね。

一つの答えを信じきり、結果が伴わなかった場合他の選択肢はありませんし、応用もできません。人間そんな精神的に圧力を受けた状態では冷静な判断も難しくなります。
壊れたレコード版のように同じ結果の伴わないアプローチを何度も何度も繰り返してしまうことにもなりかねません。そういう先生たちの姿、過去の自分の姿は何度も見てきました。

壊れたレコード版とは例えが古かったですね、リピートを繰り返してしまうということです。

他のことも準備とはそういうものだと思います。
『捉われる』ということは非常にきけんです。いろんな視点をもちながら、柔軟に対応していける状態が最良だと思います。

そして師匠、ロン毛の寅さんはいつも私にこう言っていました。


「三秒で百個可能性を頭に思い浮かべろ」

「はい、1・2・3 百個言ってみ」

「・・・・・」


言えねえよ。


よろしくどうぞ。