インプラント


 近年、歯を失う、もしくは歯を失った場合。インプラントを使用しての治療を考慮することは当たり前の時代になりました。

それくらい素材としてのインプラントの質が上がり、成功率も高まっているのです。

しかし反対にインプラント治療後に方々でトラブルや不調の訴えが起こっているということを耳にすることも事実です。時折メディアや雑誌でその問題点を挙げているのも目にします。

インプラントは良いものなのか?悪いものなのか?詳しく知らなければなりません。

桜通り歯科クリニックでもインプラント治療を行いますのでインプラントと天然歯の違いを中心にインプラントとはどういうものなのか御説明しようと思います。

インプラント治療でも非常に重要となる『噛み合わせ』の説明書と併せてお読みください。

読んでわからないという箇所があればお気軽に尋ねていただければと思います。


 ☆ インプラントは “歯” ではない。


インプラントは “歯” 天然歯とはまったく違います。大きく違う箇所は “構造” “感覚”  “生体防御能” です。


 “構造” 

インプラントには天然歯のように骨との間に『歯根膜』という名の繊維、それに代わるものがありません。直接骨と接しています。

天然歯に存在する歯根膜の厚みは正常時で20μ~30μ。その範囲で力により沈み込みます。

簡単に言い表せば歯根膜はクッションの役割を果たしていて、硬いものを噛んだり、強い力が歯にかかる状況で負担を逃がし周囲構造に外傷的な炎症が起こることから守る役割をもちます。インプラントにはそれがありません。

ようするにクッションのあるものとまったくないものが混在した場合、どのような噛み合わせを各歯に与えていくのか、そこには慎重な調整が必要です。


 “感覚” 

ご飯を食べている時中に硬いものが混ざっていた時それを噛むと反射で口が開きます。それは防御反射です。この防御反射は当然神経反応で、それを感じ取るレセプターはどこに在るのでしょうか?

それは歯根膜の中に無数に存在しています。

天然歯の場合噛んだ感覚、感触は歯の根を取り囲む歯根膜内のレセプターで感じ、“構造”のところで述べたようにインプラントはその歯根膜を持ちません。その他の場所でそれに代わる機能をまかせています。だから、天然歯と比べ感覚ははるかに鈍感です。その感覚は天然歯の1/10とも言われます。


 “生体防御能” 

天然歯の歯周組織では唾液口腔上皮歯肉滲出液が主として自然抵抗性(外来からの防御)を担っています。

その自然抵抗性を考えるうえでインプラントと天然歯で大きく異なっていると考えられるのはインプラントと接している上皮の部分、更にそこから流出している歯肉滲出液です。

ところがそこにあるインプラントと天然歯の周囲の歯肉滲出液の成分、量、防御バリアに関わるものに差がないというデータがあります。

インプラントにおける歯肉滲出液による感染防御機構は天然歯の物と同様といえるようです。

ということはインプラントと天然歯の防御能は同等でなんの差もないということなのでしょうか?

残念ながらそうではありません。インプラントのこの機構は後から獲得されるもので、インプラントの手術をしてからその周囲組織が安定を獲得するまでにかかる時間は一年と言われます。ということはトラブルが引き起こされるとすれば安定を獲得するまでの一年以内が可能性として非常に高いということになります。

防御バリアーを獲得するまでの間は徹底したクリーニングにより細菌やウィルス、外来微生物からインプラントを守る必要があります

では安定さえ獲得すれば・・・いや、インプラント周囲結合組織、周囲の上皮はそのその細胞間隙が天然歯の付着上皮よりも広くて粗鬆であり。また上皮自体の透過性も高く、上皮の増殖力も数分の1であると考えられています。そのため細菌や外来性物質の侵入が容易で、インプラント周囲の上皮の防御力は天然歯の1/2~1/3であるという見方もあります。

やはりインプラントは天然歯より防御能は低く、細菌、ウィルス、外来微生物からの攻撃は受けやすいといえるでしょう。


簡潔に言えばインプラントは天然歯と比べ細菌、ウィルス、外来微生物に弱いということです。


インプラントを長期安定するには


インプラントが天然歯とは違うということは述べました。

特に細菌、ウィルス、外来微生物からは日々のしっかりとしたクリーニングで防御していかなければなりません。


*インプラントは骨、歯肉を貫いて身体に安定して在る希な異物です。

それはインプラントが免疫反応を引き起こさせる抗原性をもたないという特徴があるからです。なのでインプラントと骨の接合部に感染が起こってしまうと、他の異物と同じく身体の異物排除機構により安定を失い失敗に終わってしまいます

その感染によるインプラント周囲炎からは歯周病原菌が検出されることが非常に多い。ということは歯周病原菌の保菌者がインプラント治療を受けるのはリスクが高いと言えます。

歯が一本もない無歯顎者からも歯周病原菌は検出されます。歯肉に浸潤して潜んでいるからです。

歯周病原菌を保菌しているかどうかを調べる検査もあります。注意を払うならば検査をすべきだと思います。

まずは歯周病原菌に対する治療をしてインプラント治療をおこなうということは長期安定を得るために重要といえるでしょう。


*糖尿病などの全身疾患により防御能が下がっている状態ももちろんリスクは高まります。

*インプラントと骨の接合様式は創傷の治癒である免疫反応と同じように血液が存在しインプラント表面に血小板が付かないといけません。ですので血が固まらないことには次のステージには進みません。血液中には止血をするために13番までの因子があり、通常だと順序よく因子が働くのですが例えば第8因子欠乏の血友病であるとか、血をサラサラにする薬を飲んでいる場合などにはこれらの因子が働かないわけですから注意が必要、リスクが高いと言えるでしょう。


そしてタバコですね。


*タバコがインプラント治療にもたらす影響。

『血中酸素濃度の低下』ヘビースモーカーや大酒飲みの方は歯肉に大きな悪影響を及ぼします。特にタバコは血液中の酸素濃度が吸わない方に比べて非常に低くなり歯肉まで必要量分の酸素を運ぶことが困難になり、細菌などに対抗する抵抗能力が低くなります。

タバコを吸うことによりニコチンの作用で末梢血管が縮小するため、治癒が遅くなり傷口が開きやすくなります。

上皮は繊維化し防御能が低下します。

タバコは口腔内においても百害あって一利ありません。

禁煙されることをお勧めします。


インプラントは万能ではない』ということを書きましたので、少し怖くなったかもしれません。

それでもインプラントは優秀な素材でインプラントを用いる治療は様々な可能性をもたらしてくれます。優秀な素材であるからこそリスク、注意点をしっかりと理解すれば成功率を高めることが可能になり、有意義な予後生活になることでしょう。

前述もしましたがインプラントと噛み合わせには非常に重要な関係性があります。是非『噛み合わせ』についての説明も併せて読んでいただきたく思います。


この説明は読んで難しいですか?結構簡単にしたつもりですがわかりづらいですか?後知りたいことがあれば書き加えたいので教えて欲しいです。
コメントお待ちしています。

『噛み合わせ』についての説明はまだ書いてません。


あしからず・・・

よろしくどうぞ。