~バブル経済崩壊後の消費者行動についての考察~   | ATQのブログ

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・第一章       
 社会が高度な文明を持つようになるまでは単純な物のやり取りに依存してきた。近代の産業革命、世界大戦から急激な科学進歩によるブレイクスルーが起き、現代のIT社会に至った。それに伴い消費者行動も急激に変わっていった。  
 第一段階には「プレモダン消費」と呼ばれ、最低限の物の売買で生きる為に必要なものしか流通していなかった。これは物々交換などの概念から続く、基本的な消費のスタイルで近代までは大多数の人間がこの消費をしていた。  
 第二段階では「モダン消費」。高度経済成長やバブルなどの大量生産、大量消費などの20世紀型の消費の形である。
そして第三段階である「ポストモダン消費」。モダン消費を経験し経済の停滞の最中である、日本国に当てはまる消費の形態である。  
 以上の三段階が消費行動の形態推移である。この第三段階におけるポストモダン消費の特徴を「アイドル市場」という例を挙げ、これついて論じていこうと思う。
・第二章
 アイドルという言葉の定義とは1、偶像。2、崇拝される人や物。3、あこがれの的。熱狂的なファンをもつ人。である。ここでは今流行のAKB48などのアイドルグループから社会における消費行動を帰納的にまとめていきたい。
 一般的にアイドルが流行する時代には社会の情勢を如実に反映する。60年代の吉永小百合。70年代山口百恵。80年代松田聖子、おニャン子クラブ。90年代モーニング娘。00年代AKB48。アイドルが一時代を築くのは不況が多いと言われる。アイドルとは擬似恋愛であり、好況であると身近な女性を口説き落とそうとする傾向が多いからである。その為アイドルは不況に強いビジネスモデルである。つまりこのポストモダン消費の社会の情勢を汲んだのが現在のアイドル業界である。
 AKBのビジネスモデルとして特徴的であるのはアーティストとして完成形ではなく、ストーリー性を全面的に押し出している点である。従来ならば歌が上手くて、ダンスが出来て、顔も可愛い。そんな稀少的な存在をスターに仕立て上げ世の男性を虜にした。しかしAKBはクラスで10番目に可愛いような普通の素人の女の子を集め、一から育て上げる。その過程を楽しんでもらう。
 以前のアイドルは完成されており質の良いものであったが、AKBは決して良質ではないがそこに違う成長過程を見守ることが出来るという付加価値を付けた。完成されたアイドルから大多数の人間へ一方通行的なメディア展開がされ、美しい女性、高度なパフォーマンスによって価格の高いライブのチケットが売れた。AKBの場合では2000円で行ける劇場、1000円で行ける握手会、その身近に居るような親近感を生み出した。会いにいけるアイドルというのがAKBのコンセプトである。
 初めは軽い気持ちで可愛いなと思った子に簡単に会いに行くことができるので現実的な恋愛よりもお金がかからない。しかしその物理的心理的な距離の近さにより擬似恋愛は現実的恋愛に変わってしまうのである。その結果CDについている投票権を自分の応援するメンバーに投票し、そのメンバーがより高い順位につけるようにCDを何十枚、何百枚と一人の人間が買うという、抜けたくとも抜けられない構造になっているのである。
 そしてこの物理的心理的な距離の近さを実現したのが、IT社会の賜物である。AKBメンバーはそれぞれブログをもっており、そのブログを1日に何度も投稿しファンはつぶさに彼女達のリアルを伺い知ることが出来る。そしてそのブログにコメントすること、そしてそのコメントへのレスポンスが行われ、今までは考えられなかったアイドルとの交流、コミュニケーションを取ることができるのである。 更にYOU TUBEなどで彼女達のライブがいつでもどこでも見ることができるのでより簡単に彼女達を身近に感じることができる。こういったTV以外でのITを使った、マーケティングよってよりファンを拡大していった。
 こういったアイドルの経済活動に対し冷ややかな目を持つ人間も多い。確かに同じCDを何十枚、何百枚買うことは馬鹿げているかもしれない。そのお金をアフリカの恵まれない子供達に寄付するほうがよっぽど為になることも知れない。しかし当の本人はそれで幸せであり、満たされているのである。
・第三章  人間的な生活を送る上で衣食住が満たされること、安全なこと、充実した愛のある人間関係、自己尊敬感、そして自己実現の五段階の欲求を踏むという、マズローの理論がある。 ポストモダン以前の消費行動では一番下の欲求である生理欲求が主に求められ、安定した職に就き家庭を作り天寿を全うするということが最上の価値観であった。しかしポストモダン消費では更なる高次元の欲求を求めているであると思う。
 前述ではアイドルとは擬似恋愛であると述べたが、現代のアイドルへ向けられる感情はそうではないのだ。つまりその上の欲求である、自我の欲求さらには自己実現への欲求を満たす手段としてアイドルは存在している。
 握手券、CDを多数購入し総選挙の為に投票する行為には自我欲求、つまり認められたいという欲求が多い。前田敦子というメンバーには多数のファンがいる。そしてファン同士もITの普及によって、横のつながりを深めており前田ファンという1つのグループを形成している。そしてそのグループの中で「誰がどれだけあっちゃんを愛しているか」という争いが起きる。そうした中で一番の力を誇示する為の手段として、CDをどれだけ買ったかという行為がバロメーターになる。中に5500枚ものCDを購入し、ファンの中でのTOPに君臨するという、小さなコミュニティーの中での自己承認欲求を満たしてくれる手段でもあるのだ。
 そして自己実現という高次の欲求を満たすことも現在のアイドルは可能にしている。今までではなかった相互関係による親近感の増大より、「自分が何某ちゃんを作っている」という思いを抱かせているのだ。アイドルとの距離が近くなり、「こうした方がいいよ」等のアドバイスがアイドル達の耳に当然届くようになり、アイドルはそれを実践する。そうして実際にパフォーマンスが良くなったり、TVの番組に呼ばれるようになる。そうするとアドバイスをしたファンは自分が育てている、自分が彼女の役に立っている。という感情を抱く。これはまさに自己実現の1つである、慈善的な利他的な行為に他ならない。これを実現可能にしているアイドル業界の新しいスタイルである。
 つまり今までのアイドルであればただTVやライブでの受動的、一方通行的な感覚でしかなかったものが、握手会や距離の近い劇場でのライブ、ITの発展による相互コミュニケーションにより消費行動の高次元化がなされているのだ。
 ・第四章 具体的な事例から帰納的に現代の消費者行動を示すと、従来の普遍的価値観から個々の場合における価値観の多様さの許容、受動的に与えられてきた物から能動的な消費、つまり高次元的欲求への更なる渇望が現代の消費社会への特徴である。 そしてデフレ傾向、市場の成熟化により物の価格は下がり消費活動が低下する一方で、価値観の多様化によって消費の流れが多極化しているのもまた特徴である。
アイドルの旬は短い。その旬を永続的に維持できるかどうか。今ある人材だけでなく若い世代への育成、世代交代のタイミングの見極めが今後のAKBの鍵を握っている。保守的にならず前衛的で、グローバリズムによって勢力範囲を拡大していき世界へ日本発信のアイドル文化を定着させてもらいたいと願って止まない。