QED 百人一首の呪 (講談社ノベルス)/高田 崇史
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今私が一番好きな作家、だと思います。





『希代の天才・藤原定家が残した百人一首。その一枚を握りしめて、会社社長は惨殺された。残された札はダイイング・メッセージなのか?関係者のアリバイは証明され、事件は不可能犯罪の様相を呈す。だが、百人一首に封印された華麗なる謎が解けたとき、事件は、戦慄の真相を地上に現す!メフィスト賞受賞作。 』
(本書裏表紙より)





確かこの本と初めて出会ったのは中学生の時。

ちょうど数学の授業で証明問題を習っているときで

『QED』と言う言葉が『証明終了』なんだよ、と教わった頃だったと思います。

そんなときに学校帰りに寄った本屋で見つけた、このタイトル。

もちろん『QED』にも興味を引かれましたが、サブタイトルが『百人一首の呪』

数学の単語と、想いっきり文系の単語が混在している?

中学生の興味引くには、もう十分でしたよ。

それからは…あれよあれよとハマっていって。

毎日のように書店に行っては、次の巻次の巻、と気持ち悪いほどに待ち焦がれるほどになっていました。





怪しい薬剤師・桑原崇(通称タタル)、常識的(?)な薬剤師・棚橋奈々、ジャーナリスト小松崎良平(通称熊つ崎)。

そんな個性的すぎる3人(2人とまともな人1人、か)。

タタルと奈々の再会に熊さんも合流して、語られたのはお正月に起きたセンセーショナルな事件のあらまし。

でもタタルが興味を持ったのは、被害者がダイイングメッセージとして握りしめていた、高価な百人一首札。

事件には無関心で百人一首の持つ歴史、そして平安時代の人間関係を語り始めるタタル。

あなた、薬剤師ですよね?理系ですよね?と本気で首をかしげたくなりますが。

まぁそれも、巻を進むごとに当然の光景になってしまうので今は慣れましたが。

初めて読んだときは驚いたなぁ。





このシリーズ読むと

「素敵なバーで美味しいお酒(特にカクテル)が飲みたくなる」

と言う不思議な小説。

きっと作者の高田先生がお酒好きだから、ページを通して先生の願望が…

なんて巫山戯て書いてみますが、あながち嘘でもなさそう。

とにかく沢山お酒が出てきます。

しかも3人とも酒豪。

見ているこっちが酔っぱらいそうです。

でも3人が行きつけにしている「カル・デ・サック」というバーは、本当に素敵。

こんなバーで飲んでみたいものです。

「世界一おいしいオレンジジュース」である、ミモザを、ぜひ。





そしてなんだか懐かしい。

まだ奈々ちゃんがタタルさんに怒ったりしているんですもの。

巻を追うごとに、こんなにも気持ちが変わっていたんですねぇ。

なんだか新鮮です。

ないがしろにされて「不機嫌」になって、彼の名前を出す熊さんに「醒めた目つき」を返して

なのに「お礼がしたい」と言う伝言には「胸がドキンと波打つ」なんて反応して。

可愛いなぁ。

まだこの頃は、後日会おう、が中心。まだ再会したばかりだからなんでしょうね。

最新刊ともあれば、「明後日旅行に出掛けよう、その打ち合わせをしたいんだけど」なんてタタルさん。

まだこの微妙に互いに気を使っている感じ(?)大好きです。





本書はまだ、シリーズの中でも「現実の事件」にもちゃんと目を向けている話、ですかね。

既刊の中には、「あれ?現実の事件どうした?」なんてものも多いですから。

でもやっぱり「歴史」が占める割合は相当多いんですけどね。

まぁ、それがこのシリーズの味であり、このシリーズ足らしめる所以なのでしょうか。

推理小説を読んでいるというよりは、歴史解説書読んでいる気分ですもの。





にしても、理系の方が書いている、主人公理系の、歴史扱った小説。

なので所々、笑える表現があります。

百人一首を○○の順に並べようとして

「確かにここらへんは分子結合表よりも単純で分かりやすい」

だの

「なんせこいつは一本の句から六本も七本も手が出ている。それに比べれば酸素なんて二本、炭素だって四本、水素に至ってはたったの一本だからな。それが塩基のどこに結合するかなどは小学生にだってすぐ分かる」

なんて理系な発言が出てきて。

でも目の前にあるのは百人一首。

中々ない光景ですよねぇ。





作者の高田崇史先生は、この本を書いていたときはまだ薬剤師でした。

(今は薬局はお辞めになっていますが)

実は奥様も薬剤師という話。

実際にお話しさせていただく機会がありましたが、とても優しい奥様でした。

先生は、まんまタタルさん。

「怪しい薬剤師」、そのものです。

ご自身でもおっしゃってますしね。

そして大変なお酒好き。

ここもまんまタタルさん。

そんな人柄も含めて、このシリーズが大好きです。





シリーズは無事に完結してしまい、それは酷く残念なのですが…

だってもっと彼らの冒険を見たかったので。

でもまぁ、とても幸せな最後だったので、それは嬉しいです。

高田先生の他のシリーズ

『カンナ』や『毒草師』を楽しみにいきます。

…にしても『毒草師』って、やっぱりすごいタイトルだよなぁ。

『カンナ』にはタタルさんと奈々ちゃんが少しだけ出演したことがありますので、これからも出てくれること希望。

まぁとにかく、タタルさんと奈々ちゃんが大好きです。





さぁて

明日は何を、読もうかな。





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