今朝 キンモクセイの香りを聞いた

 

今年 初めてだなあ

 

あたりを見渡しても 香りの主は 見あたらない

 

同じく 香りの強い 沈丁花の場合は

甘えるように 身にまとわりついてくるのに

 

鼻先を スーッとかすめて 通り過ぎてしまう

その軽やかさが キンモクセイらしい

 

九里先までも匂う ということで『九里香』という名も持っていて

花の色が 白いのが ギンモクセイ やさしい橙色が キンモクセイ

 

どちらも 花の形は 同じだけれど 

よく香るのは  キンモクセイのほうだと思う

 

今では 庭木として あちこちで 咲いているけれど

子供のころは 本で 名前を知っていただけで

北国では 見ることが なかったのに

やっぱり 暖かくなったんだね

 

上京して初めての秋・・ 銭湯からの 帰り道

どこからか 漂ってきた 初めての香りに 

その元を探して 思わず あたりを見渡していた

 

暗い路地と 湯上りの温かさと キンモクセイの香りとが

私の記憶の中で ワンセットとなって 結びついている

 

  

 

 

 

近頃は 季節の変わり目が あいまいになっては いるものの

秋の気配は あるらしい

 

見上げれば 空色は 心なしか 淡く 軽やかに見え

浮かぶ雲は うすく うすく 広がり

重くて 強い 夏空とは 明らかに違ってきている

 

いつに間にか 夕暮れも早くなり

月を めでることも増えた

 

 

    

 

などと ちょっと ロマンティックな 気分になることも・・

 

でも やっぱり 秋の気配は 味覚から・・ だよね

こればっかりは 夏が長すぎ 秋が短くなったとは言えども

絶対 譲れないところです

 

秋の味覚も チラホラ届いて来たし・・

 

梨でしょ 栗でしょ 葡萄でしょ

そして じゃ~ん なんと 松茸まで

 

でも 心配の種は尽きず

 

海の温度が 高止まりしているままの 今年は

鮭が いつもの故郷の川に 帰ってこれるかしら

秋刀魚が その名の通り 秋の代名詞になれるかしら

 

近所に 一枚だけ 残っていた 貴重な田んぼ・・

廻りを 住宅に囲まれているので

そこだけ 打ち捨てられているのでは と思っていたら

 

春になると 黒々と耕され 水が入り 苗が植えられ

待っていましたとばかりに カエルが 命の歌を叫び 

やがて 青々とした稲が育ち 穂を垂れた黄金色となり

そして いま

稲刈りも終わり はせ掛けにした稲束は

秋の日差しを いっぱいに浴びている

 

お日様の恵みを受けて

さあ~ おいしくなあれ! 

 

願わくは これからも 食の輪廻が 滞りなく巡ることを・・