私達の共通の知人に

よく笑って、

よくおちゃらけて、

競馬狂いで、世の中、金で、

腹黒い、女にも酷い

どうしよもない男がいる。

彼は、猫は好きだけど、

犬には興味が全くない。

アトムを迎えた時には、

無理矢理、可愛いと言わせて、

無理矢理、撫でさせた。

『犬なんて気持ち悪い』

そう言ってたな。

彼は、私に自分と同じ匂いがする。私は、彼と同じだと言ってた。


私は、そんなに非常じゃない。

バカヤローなんて

いつも笑ってた。

彼に最低と言う言葉を

数えきれない位、言ってた。

アトムが亡くなる数日前、

彼と墓参りに行ってた。

彼の元婚約者のお墓参り。

私の友達のお墓参り。

彼女は世の中に絶望して、

彼の家で、自ら命を絶った。

第一発見者は、彼だった。

彼は、警察にも

疑われたりした。

見た目は、確かにそうみえる。

でも、

彼は、私達とずっと居た。

私を送って帰宅して発見した。

その日は、

『どうしよう。喧嘩して、携帯の電源切られてる。一度帰ろうかな。』



私は、彼女が心の病気なのを知っていたから帰れと言った。



彼は、結局、帰らなかった。

次の日、彼は、私に

大丈夫。死なない。

一人で家に居たいんだと

ご飯を持って行こうかと言う

私を拒んでた。

その日の昼は、

以前彼女が我が家に来て

『最近お酒をどれだけ飲んでも酔わないんだよね。死にたいなって思う時もあって…』



そう言ってた。

私は、『何いってんの!死にたくなったら、TELして!死ぬ直前にTELして!そしたら、私がなじるから!私が死んで良しって言うまで、そういうのは止めてよ!』



彼女は、そうだなって

笑ってた。

私も笑ってた。

私は、彼女のサインにも

気づかなかった。

アトムと同じように。

私は、何も学んでない。


悲しみ、憎しみと、後悔を

原動力にして、

行動してきた。

なぜか、今日は、

気力がない。

いつも、どんな時でも

解決策を見いだして、

感情を隠して

生きてきた私だけど、

感情は溢れてくるし、

解決策が見つからない。

時間が全て解決するのも

分かってる。

アトムを忘れてしまいたい様な

忘れたくないような。

前に進んで行く事を

止めたい様な止めたくない様な。


新しく迎える家族を

待ち遠しく思えるけど、

またこんな思いをしたら

どうしようとか、

不安と恐怖も感じる。

もちろん、ごめんとも

思ってる。

子供を殺されたり、

突然失った方は、

どう前進してるのかな。

私以上に絶望してるよね。

どうやって生きてるのかな。

そんな事も考えてる毎日。

心が痛すぎて、

心を取り出したい位。

毎日忙しく予定を立てて

何かをしても

私は、何してるんだろう。って

思う。

テレビを見てても

悲しいニュースばっかり

耳につく。

以前みたいに、

ニュースを見て

涙がでたりしない。

経験してないから、

軽はずみに涙を流したりしたら

失礼だなとか、

そんな風に思って

泣くのを我慢してみたり。

泣いたらアトムにすり替えて

泣くから失礼だなとか。

生きるのは、死ぬことより

難しいって言うけど

そうだな。

もっと悲しんで苦しんでる

人も居るのに、

私、前に進まなきゃって

思ってみたり、

一生懸命生きてる人や動物に

こんなこと思って

生きてる私も

失礼だな。

天国なんて、あるのかも

分からないな。

何も感じないで

沢山寝たいな。

起きたら、あの日に

戻ってたら良いな。


遺品整理をして

頼んでおいた

新しい子のハウスを

取りに行く。

ハウス来てるかな。

新しく買ったハサミを

試してみる。

掃除、洗濯。

羽毛布団だそう。

昨日決まらなかった

名前を考える。

アトム今日は、

ゆっくり過ごせるね。