九時になって

どの玄関から中に入るのか

分からなくて

色んなドアを開けてみた。

一つだけ開いた。

と、言うより、向こうから

開いた。驚いた。

可愛らしいお母さんみたいな

奥さまらしき人が

『聞いてますよ。どうぞ。』

と、出てきた。

早口な私より、早口で、

見たか?見てないのか?

案内すると言った。

私も、より早口に答える。

でも、早い早い。

多分かなりの世話好きで

犬が大好きで、天然だ。

初めに合祀に案内された。

またすごい早口で、

動物や飼い主の話をしながら

お供え物のズレを

直してた。

次に納骨堂に案内された。

小さなroomに、棚が陳列。

その棚、一つ一つに、

遺骨の入った箱が、

位牌とか、お供えもの、

お線香と飾られてた。

お墓のマンションみたいだった。

何で亡くなったか話した。

奥さまは、許せない、

堪らないなどと早口で、

怒ってた。

早口過ぎて分からなかったけど。


そして、

『で、ここが、うちのこ達のでね。この子は、これが好きで、こうだった。』と、ずっと話してた。



何だか私は、

少し元気になれたのか

微笑む事が出来た。

奥さまの早口と天然に

癒された。

だって、

愛犬自慢をしている奥さまが

可愛らしくて、

何より

ご自分の愛犬達の棚が

一番広くて、

一番立派だったから。

わんこ墓地は、

そんなワンコ好きの奥さまが

愛犬の死で、たまらず

元は、無かったのに

人間の墓地のすみに

作っちゃったんじゃないかなって。



何だか愛犬家であり、

彼女の人柄の良さに

安心して涙が溢れた。

納骨堂は、棚によって

年間費用を取るようだ。

合祀は取らない。

奥さまの愛犬が眠る棚は、

八万だそうだ。

特権だねって、おくさまと

笑った。

私は心から笑う事が出来た。


『納骨堂にしたいね。そしたら、パパの意向にも添えるしね。』


そうして、決めた。

まだ

やつらには言ってないけど。

そこを出るとき奥さまは言った。

『毎朝ね。私ね。おはようって、こうやって。皆に挨拶するの。』


手を広げて、無邪気に言った。

笑った。なんか救われる。

この方が近くで

見守ってくれるなら、安心だ。