道徳的に良い行いをしなければ真の勝利者にはなれない | 清々しく、やさしく、丁寧に、力強く生きる  長瀬泰信

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~人は言葉により励まされ、癒され、自分の世界を築いていく~

『道徳的に良い行いをしなければ真の勝利者にはなれない』
~ミュンヘン五輪百平泳ぎ金メダリスト・田口信教さん~


皆さんが挑む国家試験もスポーツの世界と同様に、真の勝利者になるためには絶対に道徳的に悪いことをしないという姿勢が、自分の心の支えになります。

自分の行動は他人に知られていないことでも、自分が背負って生きていきます。こんなに一生懸命に力強く正しく生きてきたという支えは、自分にとって最高の応援者です。



 今回は、そのことを最も強調されるミュンヘン五輪で百メートル平泳ぎで金メダリストに輝かれ、現在は鹿屋体育大学に勤めておられる田口信教さんを取り上げました。



話がそれますが、東福岡高校がラグビー高校選手権大会で3連覇の偉業を達成して、その根底にあるものが田口先生との語らいで教えていただいたことに共通していました。

 東福岡高校では、ヘッドキャップやマウスピースを忘れると、例え主力選手でも試合には出さないという厳しい規律が精神力を育んでおり、トイレ掃除も課せられ実にトイレがきれいで、部室やグランド横には用具が整然として置かれ、関わる全ての人々に「ありがとう」と感謝する姿勢は、うまくいかないことを他者の責任にしない、強く生きる姿勢があります。

 20年ほど前に、監督の谷崎重幸先生とお話ししましたが、その時からぶれていないなあと感心しています。


 田口さんに戻ります。田口さんが競泳の平泳ぎ日本一になった経緯については、「兄が水泳やっていて一緒にやっていたんですが、中学時代に参加者の少なかった平泳ぎで四国1位になり、本気になってやってみようと思いました。

当時、尾道高校では朝5時半頃起きて早朝練習2時間、放課後に2時間ほどの練習を続けたら日本一になってしまった。365日毎日ではなかったんです。大体3日やって1日休むという感じで3年目にして日本一になってしまったんです。当時としては珍しい温水プールがあり、いつでも泳げるという環境があっったことも幸いでした」と語られています。



 皆さんでも、国家試験に向かってやろうとすれば出来る環境にありませんか?出来ないことの理由なんてすぐ見つかります。でも、そうすれば自分を弱くしてしまいます。



第61代横綱北勝海(ほくとうみ)は稽古の量で横綱になったと言われていますが、横綱の言葉に「何が嫌いかというと、稽古ほどつらくて嫌なものはない。でもこの体で稽古しなければ勝てないから」という言葉に通じます。



田口さんは、泳法についてもいろいろと工夫され、田口キックとしてミュンヘンでも遺憾なく発揮されました。田口さんが高校時代の監督から教えられたことのひとつに「カンニングをしても怒られないのがスポーツの技の世界だ」と言う言葉でした。身近にいるいい手本を見習う、誰にも許されるべき良い手本を盗むカンニングしながら自分の成長を期していくべきではないかと思います。



 田口さんは、日々実践すること、守るべき事を目の付くところに張って、忘れないようにされたそうです。「工事現場に注意が書いてあるのと同じです」と語られました。そして、『目指せオリンピック』と大きく書かれたものを張って頑張られたそうですが、皆さんも『目指せ国家試験突破!』と張られたらどうでしょうか。



 尾道高校卒業後広島修道大学に進学され、県の水泳関係者が広島県から逸材を失いたくないとの配慮から、郷里のフジタ工業に就職されますがここで、田口さんは標記の『道徳的に良い行いをしなければ真の勝利者になれない』という言葉を体験から紡いでいかれます。



ミュンヘン五輪の四百メートル個人メドレーで、優勝と2位の差が千分の2ミリであったことを例に、『運』の話をされた。千分の2ミリ、爪の長さの差ですが、「運も実力のうち」という考え方をされずに、運を掴むためには神を味方に付けることが大切で、神が味方する選手というのは道徳的に良いことを行う人であって、日々の行動が勝負の一瞬に問われていることを1位の選手の日々を例にとられて強調されました。



 田口さんがフジタ工業の仕事で、ある会社に取引で訪れた社長室で、待たされている間に、部屋の片隅にあったガラスの破片を片づけたそうですが、後で取引が成立したことの体験からも、「道徳的に良いと思われることを行え~その結果として運がついてくる」と確信されたそうです。



田口さんは、誰にでもやろうとすれば出来ることを、長く続けたことで世界一になられました。



「なりたい」と思い続ける人は多いが、「なれる」と確信してそのために成すべき事を続ける人は少ないと指摘されましたが、強い信念を持って自分の目標に挑みなさいと言う教えだと思います。



 時間とか希望はみんな平等に与えられていて、時間の使い方で時間の深さを知り、工夫をすることで独創を生んでいきます。スポーツの世界では常にプラス思考で、あらゆる場合において用心は必要ですが、不安は何一ついい結果を生みません。



田口さんは、厳しい練習の継続と強い信念で闘う精神力を身に付けることを強調されましたが、このことは理学療法士、作業療法士の国家試験に挑む皆さんの姿勢にも通じます。



また、田口さんから進められたのが手作りのカレンダーでした。「人生は、何かをしようとすると短い。1年単位で物事を考えないで、目標までのカレンダーを作るといいですよ。私はオリンピック代表決定までの3年余りのカレンダーを作りました」~皆さんも国家試験までのカレンダーを作ってみたらどうでしょうか。



現在、鹿屋体育大学で学生に話され、更衣室等に張っておくように命じられた言葉のいくつかを紹介しておきます。


*自らの未来の設計者は自ら自身である。


*人生とは自らの思いを実現することである~一生懸命やれば「運」は向こうからやってくる。


*自らの力でやりとげようとする人に、天は手をさしのべる。


*己れ自身を信じなければ、誰からも信じてもらえない。


*失敗は成功を教え、努力はしただけ報われ、信じる者に不可能はない。


*人間の評価は、苦境の時の処し方で決まる。


*苦しんだ後でなければ上達はない。偉業は、力ではなく、忍耐によってもたらされる~など、



まさに実践した人の言葉だからこそ、言葉に力を感じました。