経済
2013年2月20日 09時34分
(1時間22分前に更新)
 県内における電気自動車(EV)の開発や製造に関する関係機関の連携を強化し、産業振興を目指す県の「島しょ地域型電気自動車開発推進協議会」(会長・安里肇県商工労働部産業振興統括監)が19日、発足した。県庁で初会合があり、EV製造を手掛ける事業者や自動車整備業、行政、学識経験者らが参加。国が推進するEVなど超小型モビリティの認定制度に向けた課題やEV普及の可能性について意見を交わし、新たな産業の確立に向けて取り組むことを確認した。

 協議会では、沖縄の地域特性に適した地産地消型のEV開発や製造、今後普及が想定されるEVのメンテナンス技術の蓄積や向上、EV産業の振興と雇用拡大を目指す。

 県内でEV開発などに取り組んでいる各機関との連携を深め、情報共有を図ることで製造技術や人材育成などにもつなげていく方針だ。

 国は1月に、地域の手軽な移動手段として近距離輸送に活用される超小型モビリティ(長さ、幅、高さが軽自動車の規格内の三・四輪自動車、定格出力8キロワット以下など)について、一定の条件をつけて、安全の範囲内で公道を走行することが可能となる認定制度を施行した。地方公共団体やそれを含む協議会が地方運輸局に申請し、限定地域での走行が可能となる仕組み。

 認定制度について、国立沖縄工業高等専門学校の山城光教授は「EV専用レーンなど、インフラ整備を含めた議論も必要では」と指摘し、普及のための環境づくりを並行して取り組む必要性を挙げた。

 EVなど自動車のコンピューターシステム開発を手掛けるAZAPAの担当者は、大型車から超小型車が見えづらいなど安全性と運行面の課題に触れ「交通の流れに乗る加速度も必要」と技術面の対策を挙げた。

 今後のEV開発・製造振興について、琉球大学工学部の末吉敏恭准教授は「島しょ県の沖縄は、バッテリーの持ちを考えるとEVに適した場所。EVアイランド構想を立ち上げてはどうか」と提起。

 中古車をEVに転換するコンバート製造も手掛ける長嶺自動車整備工場の長嶺明代表は「技術面では問題ないが、バッテリーの耐用年数に課題がある。製造法やバッテリーの研究を含め、ハードルは多いがEV製造の可能性は大きい」と述べた。

 ものづくりネットワーク沖縄の金城盛順理事長は「メーカーが製造した製品のメンテナンスをどう担うかなども含め、県内での技術構築とネットワークの仕組みづくりが必要」と呼び掛けた。


iPhoneからの投稿