中国化するシベリア 狙われた「極東の食糧庫」
2013.8.1 07:49 (1/3ページ)[新帝国時代]
中国人が経営するロシアの農場で、昨年収穫した大豆の選定作業を行う中国人労働者たち=アムール州ロムニスキー地区ベルヒネベーレ(岡部伸撮影)
中国人が経営するロシアの農場で、昨年収穫した大豆の選定作業を行う中国人労働者たち=アムール州ロムニスキー地区ベルヒネベーレ(岡部伸撮影)
かつて中ソ国境紛争の舞台だったアムール川(中国名・黒竜江)。ロシア全土の大豆生産の50%を占めるアムール州は「極東の穀倉地帯」と称される。国境が画定された大河を越え、中国人が広大な農地を求めて続々とロシアに渡っている。アムール州政府が今年から出稼ぎ中国人による農業を禁じたにもかかわらずだ。
■名義はロシア人
「後ろめたいことは何もしていません。何でも聞いて下さい。お答えします」
真っ黒に日焼けした身長160センチの丸顔小太り。せり出した腹をピンクのポロシャツに包んだ中国人農場経営者、蘇少苑(50)は自信たっぷりだ。
蘇は対岸の中国・黒河市出身。州都ブラゴベシチェンスクから車で3時間半のロムニンスキー地区ベルヒネベーレで2000ヘクタールの農場を運営する。黒河でも300ヘクタールの農場で大豆を生産する。ロシアで農場経営を始めたのは3年前。「ロシア人パートナーに恵まれ、水源に近い黄金の肥沃な土地を探し当てた」からだった。
パートナー名義で会社を設立し、農地を安価で借り受けた。農場は形式上、共同経営だがロシア人は実務に関与しない。パートナーと組むのはロシア人の方が農地を借りやすく、税負担も少ないうえ、国からの補助金も受けられるためだ。