正論   日本国は国民を助ける力はない  テロに屈した過去がある 金を払って解決してない!! | サファイアのブログ

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【正論】
自国民救出する気概と手段持て 拓殖大学総長・学長 渡辺利夫

2012.10.16 03:10 (1/3ページ)正論

 1979年のイラン革命の最中、追放されたパーレビ国王の入国を米国が認めたことに激怒した革命派学生が、テヘランの米大使館を占拠、米外交官を含む53人を人質に取り、444日後に解放に至った事件のことが思い起こされる。当時、私はイスラム研究に携わる親友から、人質たちはこの間、憔悴(しょうすい)することなく、むしろ意気は軒高であったと聞かされた。「米国がわれわれを見捨てるはずがない」と、国家に対する信頼を失った者が誰もいなかったからだという。

 ≪国、我見捨てずの信頼ありや≫

 事実、カーター米大統領は陸海空軍、海兵隊4軍の力を結集して救出作戦を展開、これが失敗に帰するや第2の救出作戦に打って出ようとした。その矢先に国王が死去し、占拠の論拠を失った反体制派が米国と合意して人質解放となったというのが顛末(てんまつ)であった。

 77年9月に起こった日本赤軍によるダッカ日航機ハイジャック事件に遭遇した日本人乗客、96年12月に発生し4カ月余続いたペルー日本大使公邸占拠事件で人質となった多数の日本人のうち、「日本政府が事件解決のために全力を尽くしてくれるに違いない」、そう考えた人が何人いたであろうか。

 前者では、福田赳夫首相が「人命は地球より重い」と言い犯人の要求を丸飲みして事を収め、後者では、橋本龍太郎首相が「平和的解決」を求めてフジモリ大統領の支援を訴えるのみ、結局は大統領の果断により特殊部隊の公邸突入をもってようやく人質は解放となった。卑劣な犯罪に対しては屈辱的な対応を余儀なくされ、さもなくば他国の救出作戦に全面的に頼るしか、日本という国家には自国民を救出する術がない。国家というものの存在のありようが最も鮮明に表出されるのは、そういう劇的な状況においてである。