刑務所に入らないためには、裁判で執行猶予付きの判決を獲得する必要があります。
 
執行猶予付きの判決を獲得するためには、弁護士を通じてご相談者様に有利な証拠を提出し、裁判官の心証を良くしていくことが大切です。
 
傷害事件の場合は、被害の程度に関わらず、相手方(被害者)がいる犯罪ですので、弁護士を通じて被害者と示談を締結し、示談書や嘆願書などが入手できれば、ご相談者様に非常に有利な証拠になります。
 
また、弁護士のアドバイスに基づき、生活環境を改善することで、反省と更生の意欲を「見える化」し、裁判官の心証を良くすることができます。
 
他方で、ご相談者様が犯人でない場合や、ご相談者様の暴行が正当防衛によるものである場合は、弁護士を通じて無罪を主張し、検察側の証拠を争うことで、無罪判決を獲得していくことになります。
 
 
 
 
 
弊所大阪支部の熊谷弁護士と、東京の野根弁護士が、合同で担当している条例違反の盗撮事件で、勾留決定に対する準抗告が認められ、ご相談者様のご子息は留置場から釈放されました。
 
【事件の概要】
ご相談者様のご子息が、旅行先で、携帯電話のカメラを利用して、買い物中の女性の下着を盗撮したとして、迷惑行為防止条例違反の容疑をかけられた事件。
ご相談者様のご子息は、実家から離れた旅行先の警察署に逮捕され、10日間の勾留が決定していました。
 
【解説】
警察に逮捕されると、逮捕の翌日か翌々日に検察庁に連れて行かれ、釈放の有無が検討されます。
検察官と裁判官によって釈放が「なし」と判断された場合、勾留(こうりゅう)を請求された日から10日間から20日間、留置場での生活を強いられることになります
 
今回の事件では、弁護活動の対象となったご相談者様のご子息は未成年の学生でした。
未成年が犯罪行為を行った場合、「少年法」という特別の法律に基づいて、成人とは異なる手続きを経ることになります。
 
しかし、逮捕については少年法上の制約はなく、逮捕の必要性があれば、刑事責任無能力者とされる14歳未満の少年を除き逮捕されます。この逮捕に続く勾留については、法律上やむを得ない場合でなければできないと定められ、この場合は勾留に代わる観護措置により身柄を拘束されます。
 
そして、家庭裁判所で審理を受けることになった場合は、少年であっても、長期間にわたって、親元から離され、実質的に身柄を拘束された状態が続いてしまうことになります。
未成年者の事件の場合は、留置場生活の中で大人の警察官に取調べを受けることは、成人以上の精神的・身体的負担がかかることから、弁護人としては、迅速かつ丁寧な対応が重要になります。
 
本件では、ご相談者様のご子息は、まだ若い上に、実家から遠く離れた旅先で逮捕され、勾留が決定されてしまいました。
熊谷弁護士と野根弁護士は、勾留先の警察署に出向いて面会を重ねたり、実家のご両親に連絡をとるなどのサポートをすると同時に、関係当局に対して強く準抗告を申し立て、勾留の不当性を訴えました。
これにより、当初の「10日間勾留する」との不当な決定がくつがえり、ご相談者様のご子息は直ちに留置場から釈放されました。
 
熊谷弁護士の迅速な対応、野根弁護士の親身のサポートが、ご相談者様のご子息を不当な身柄拘束から解放し、無事ご両親の許に戻れる結果につながったといえます。 
 
 

【ニュース】
自宅で里子を虐待死させたとして、声優の鈴池静容疑者(43)が傷害致死罪で逮捕された事件で、暴行を加えた里子の女児(3)を寝室で寝かせ、後から死んだのに気づいて階段からの転落死を偽装した疑いがあることが分かりました。警視庁は、21日鈴池容疑者を送検しました。(産経新聞8月22日7時56分配信)

当時2歳の長男の背中に熱湯をかけ大やけどを負わせたとして、千葉県警は父親(24)を傷害の疑いで逮捕しました。(読売新聞 8月23日06時41分配信)

児童虐待のニュースが後を絶ちませんが、「暴行」「傷害」「保護責任者遺棄致死罪」など、問題となっている行為の態様や罪は様々です。

暴行して死亡させた場合は殺人罪にならないのか?熱湯をかける行為は「暴行」にあたるのか?今日は、児童虐待に関する素朴な疑問にお答えします。


■ Q1. 子供に暴行を加えて死亡させた事件で、容疑者は「傷害致死罪」で逮捕されたそうですが「殺人罪」にはならないんですか?「傷害致死罪」と「殺人罪」の違いは何ですか?

A. 同じ人の死という結果が発生しても、暴行により人が死ぬということを認識していなければ、傷害致死罪になります。一方、人が死ぬということを認識していながら暴行を加えれば、殺人罪になります。「この程度の暴行であれば、人が死ぬことはないだろう。」「死という結果が発生しないだろう。」という心理状態であれば、仮に暴行を加えたことによって相手が亡くなってしまったとしても、傷害致死罪が問われるに過ぎません。今回、暴行によって里子を死亡させてしまった事件でも、今のところ容疑者は里子が死ぬという結果を認識していた供述はしていないようですので、傷害致死罪が問題になっていると言えます。


■ Q2. 子供に熱湯をかける行為が「暴行」にあたるそうですが、殴ったり蹴ったりしなくても「暴行」になるんですか?

A. 刑法では、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使をいいます。つまり、人に向けて物を投げたり、手で殴ったりすれば物理的な力を加えたことになり、有形力の行使があると言えます。また、光、電気、熱等のエネルギー作用を身体に及ぼすことも暴行に当たると解されています。過去には、相手に向かって大音量の音を鳴らし続けたことが、暴行にあたると判断された裁判例があります。ですから、熱湯をかける行為は、物理的な有形力の行使があるといえるでしょう。


■ Q3. 暴行を加えて子どもに怪我を負わせた場合、「傷害罪」が成立すると聞きました。「暴行罪」と「傷害罪」では刑の重さが違うそうですが、どの程度から「傷害罪」で処罰されるようになるんですか?

A. 刑法は、暴行を加えたけれど相手に傷害を加える程ではなかった場合は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると定められています。同時に、人の身体を傷害した場合は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると規定されています。
ここで傷害とは、人の生理的機能に障害を与えること、つまり、相手に怪我をさせたり、体調を損なわせるなど、健康状態を悪化させてしまうことを言います。軽微な傷害と暴行の区別は、実際上困難ですが、一応の目安としては、①日常生活に支障をきたさないこと、②傷害として意識されていないか、日常生活上見過ごされるよ うな程度であること、③医療行為を特別必要としないこと、の3つの要件を満たす時は暴行にとどまるという裁判例があるので、参考になります。実務では診断書、傷害部位の写真、血の付いた衣服、被害者の供述調書などの証拠の有無によって、怪我が認められるときは傷害罪となります。


■ Q4. 最近児童虐待のニュースをよく見るように思うのですが、日本ではどのくらいの数の児童虐待が起きているんですか?

A. 平成21年度中に、全国の児童相談所(平成21年中は201か所)が児童虐待相談として対応した件数は44,210件で、従来で最多となっています。
平成20年4月から、長期間子供の姿が確認できない家庭に対して、裁判所の許可があれば捜索などができる制度が導入されましたが、これに基づいて親が出頭を求められたケースは21件、捜索が行われたケースは1件でした。
一方で、平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に、虐待による死亡事例(心中を除く)は64件・67人に上りました。内訳を見ると、0歳児が
39人(59.1%)と最も多く、中でも0か月児が26人と集中しています。
(参考資料:厚生労働省 児童虐待相談対応件数及び児童虐待等要保護事例の検討結果(第6次報告概要))