退院後の診察では、術後の経過に問題はなさそうとのことで、退院後1週間は完全に在宅勤務にしてくれていた夫の仕事も、在宅勤務と通勤を織り交ぜた通常モードに突入。
私が退院してしばらくは、深夜に頭痛で起きてしまう私を気にかけて、深い睡眠がとれていないのがわかっていたが、このところよく眠れているようで私も安心。
私自身は、すぐに体調が好転するわけではないが、動ける範囲で活動をはじめた。
【体調について】
●創部の痛みと違和感
・痛みやチタンプレートのあたりの違和感は変わらず。まだ右側を向いて眠れない。かさぶたは徐々に取れてきているが、なかなか傷口がふさがらない箇所(頭頂部付近、右上側頭部、もみあげ付近)がある。寝てる間に引っ搔いてしまうのが怖いので、夜の角帽子は必須。
・顔や頭の腫れが完全に引いたところで、右側のこめかみの上あたりのチタンの花びらが浮き出てきた。触るとポコポコしている。髪をおろしている分には問題ないが、前髪をあげると、怒りで血管が浮き出ているようにも見え、常時怒り散らしているようだ。そしてこれが突然ズキンズキンと痛む。
・下を向いたり力が入ると、創部がビリビリっと電流が走ったようになる。漫画でいうところの「クワっ!!」という感じである。「クワっ!!」の瞬間は「今、傷口開いたよね!?」的な感覚になる。私は笑い上戸で1日に何度もケラケラと笑うのだが、笑うたびに「クワっ!!」がくるので、「きゃきゃっきゃ → クワっ!! → ぎゃああ!開いた!?!?」を繰り返す。我ながらうるさい人間である。
発作的な笑い方を控えればいいのだろうが、全然コントロールできない。自分の笑いをコントロールする能力が0だということが判明。
●顎の痛み→毎日口を大きく開ける練習をしているが、まだ痛みがある。それでも、薄紙をはぐように、痛みが少なくなってきている。
●痺れ→頭も体も痺れるのは変わらず。アラームが鳴って慌てて起きた際、体が痺れているまま動き出そうとして、そのままベッドから落下したので、アラームをつけることをやめた。頭を打ったら大変なことになりそうだ。
●マルチタスク能力の低下→味噌汁を作りながら炒め物をするというような、当たり前だったことが上手くできないことに気が付いた。焦って油がはねようものなら、「熱っ! → クワっ!! → ぎゃああ!開いた!?!?」が発動。キッチンでも騒がしい。それもこれもてんかん予防の薬のせいだと思うことにするものの、日常生活がスムーズにいかないというのは結構なストレスでたまに落ち込む。
●ふらつき→まだふらつきはよくならない。真っすぐ歩く分には問題はないが、疲れてくるとフラフラになる。
【出来事】
●たくさんのお見舞い→両親、義両親をはじめたくさんの方々から、色々なお見舞いをいただいた。一つ一つを記載はしないが、私は本当にまわりの人間に恵まれているなぁと改めて実感した。皆様に感謝である。
●電車で買い物へ→お見舞のお返しの準備などで少し遠出をしたりした。息巻いて出かけるわりに、帰り道にはヨボヨボになるので夫と一緒に出掛けてもらっていた。
●コンサートへ→年始に脳腫瘍が発覚した時点で無理かと諦めかけていたコンサートに行くことができた。術後1ヶ月半で当初は難しいかとも思ったが、行けるようなら行こうと目標にしてきた。帰り道は真っすぐ歩くことすらままならない状況になったものの大満足。
●義兄夫婦との食事→近くに住んでいる義兄夫婦に、退院祝いということでウナギをごちそうになる。最高に美味しかった!元気がでるように、ということでビタミンカラーの花束までいただいた。嬉しい。
●姉と姉の友人からの贈り物→サウナハットとスカーフ、ターバンをもらった。髪の毛を剃られるので、退院したらおしゃれにスカーフを巻いて女優風にやっていくのだ!と張り切っていたので、スカーフを送ってくれた。と言うものの、創部がすぐに回復しないので、まだスカーフが巻けない。そもそも、スカーフを巻く技術もまだ身に着けていないが、夜は帽子を被っていることを話していたところ、サウナハットをプレゼントしてくれた。サウナハット?と思ったが、傷口にあたらずゆったりしていて温かい。サウナハットにゴリラのロゴが入っていたので、姉までも妹がゴリラだと思っているのか愕然としたが、偶然だと信じたい。姉の友人もターバンをくれた。この姉の友達は、実際に私はお会いしたことがないのだが、ハートフルな方だというのは以前から聞いていた。会ったこともない友達の妹のことまで気にかけてくれるなんてトップ・オブ・ハートフル。ハートフルクイーンである。
前述したが、スカーフが巻けない一番の原因は、もみあげの辺りの傷がふさがらないことにある。普段メガネをかけているのだが、メガネのつるが創部に当たって痛い。これをどうにかするためにつるに緩衝材をつけてみたり、ガーゼをつけてみたりするのだが、あまり効果がない。そこでスカーフというより大判のストールをゆったりと頭に巻いてストールにメガネをひっかける作戦はどうだろうかと思いチャレンジしていた。
ある日、リネン素材の紺のストールを巻いてみたところ、結構良い。ビジュアルは湘南乃風のターバンの方のような仕上がりになっているが、ビジュアルより傷口の保護が優先なので、そのまま夕飯の準備をしていたところ夫が帰宅。
夫「ただいま」
私「おかえりなさーい。」
夫「あれ、どうしたの?ビッグダディみたいになって。」
私「湘南・・・え?」
・・・あ”あ”ぁ”?・・・
これは、完全にケンカを売ってるな、と。
とうとう夫婦でタイマンを張る時がきたのかと。
持っていたお玉を振り回してそのままタイマンに突入しようかと思ったものの、ふと我に返り、念のために鏡を見て確認。
・・・・・・似てる・・・認めたくないが、湘南乃風よりビッグダディに似てる。
湘南乃風だって認めたくなかったし、私、女だからMISIAに寄せたかったんだけど。そもそもターバンじゃなくて、長谷川京子の女優・お色気スカーフを目指してるんだけど、全力で逆走してる。
私、女だからMs.ビッグダディか・・・。
無事、タイマンは回避することができました。