なかなかふらつきが良くならず足取りもふわふわしているため、退院してから初の外来は夫が付き添ってくれた。先にCTの撮影をしてから脳神経外科へ。夫にも「せっかくだし、一緒に診察室に入ろうよ」と誘ったが、シャイな性格なので、待合室のほうで待つとの事。

 

診察室に入ると主治医は「傷口の様子はどうですか~??」と言いながら、私が被っていたニット帽を早速外して創部チェック。「いいね~いいね~キレイだね~」と、今日も創部がその気になるくらい褒めそやしてくれた。創部をこんなにチヤホヤしてくれるのはこの人くらいなので、主治医がとても貴重な存在のような気がしてくるので不思議だ。

 

創部の確認を終えて帽子を被り直してから診療開始。

①確定診断

グレードⅠとのこと。これはほっとした。「おおおお。やったね」と拍手をすると主治医も「やったね」とこたえる。木霊(こだま)か?

②創部の痛み

創部全部が痛む、冷えると痛い、チタンを入れたあたりが痛い → まあ、まだ痛いだろう。時間が解決するだろう。

③顎の痛み

まだ良くならない → 時間が解決するだろう

④ふらつき

真っすぐ歩くのは問題ないが、家事など小回りのある動きでフラフラする → 脳いじってるからふらつきが起こることは仕方ない。時間が解決するだろう。

⑤ひどい眠気

私「とにかく眠くて仕方ないのですが、これは薬のせいですか?」

主「そうかもしれないですね~」

私「どうにかならないですかね~」

主「眠気で困った事態になってますか?」

私「いいえ・・・眠いので寝てるだけです」

主「食事中に眠ってしまうくらいだと問題だけれど、日常生活に支障をきたしていないようなら薬を優先してください」

すぐに眠くなってしまい多少不安になっていたが、欲望のまま寝ているので、日常生活に支障をきたしているかと言われると・・・きたしていない。赤子のように食事中に眠ってしまうこともない。じゃあ・・・気兼ねなく眠ることにします。

⑥CT・MRIの結果

問題はなさそう。この時、術後初めて、ICUから出た際のCTの結果や術後2日目に撮ったMRIの画像等を見せてもらった。

ざっくりこんな感じ(頭から出ているのはドレーン)。

私「この花びらみたいなものはなんですか?」

主「それはチタンですね~板もチタンのプレートですね」

私「花柄だ~お花畑みたいですねぇ」

主「花びらつけておきましたよ~」

ちなみに、この絵を描いた時、頭蓋骨が目のあたりまでしかうつっていなかったので困っていたところ、夫が「頭蓋骨なんて簡単じゃん」と言って、目から下をすらすら付け足してくれた。どんな人生を歩んでくると頭蓋骨を描くのが簡単になるのか不明だが、深追いはしないことにする。

ポップにしてみるとこんな感じだろうか。

昔から「思慮が浅い」「向こう見ず」「当てずっぽう」などと言われて生きてきたが、名実ともに頭の中がお花畑になったので、今後何か困ったことがあった場合「私、頭の中がお花畑だから」とポジティブに言い訳しようと決意した瞬間である。「そういうところがお花畑なんだ」と言われそうだが、お花畑になった者のみが使える手なので活用していこうと思う。

後に、姉がこの画像をやたら見たがったので送ったところ

姉「触手みたいなのなに?花柄よりそっちが気になる」

私「術後のドレーンだね」

姉「オバQO次郎じゃんwww」

と容赦がない。まあ、それにツボった私も私だし、昔、姉が交通事故にあって足を複雑骨折して手術した際、麻酔から目覚めた姉に「顔がフグみたいになってるよ」と、まさに思慮の浅い発言をした妹なのでお互い様である。

話が逸れたが、まだ腫瘍を取り除いた部分がふさがりきっておらず脳が動いている状況なので、てんかんの薬を継続し、来月また診てもらうことになった。

 

という会話をしていたのだが、主治医が立ち上がって、おもむろに私の帽子を外して再度創部を確認して「うんうん、いいね」と言い出した。

「え、数分前に確認したよね」と思ったが、帰るまえにどうしても見たかったのだろうと思ってなすがままになったが、ずっと気になっていたので

私「前から思ってたんですけど、先生、すごく傷口見ますよね。というか、傷口大好きですよね?

と聞いてみると、

主「外科医はみんな傷口マニアですよ!HAHAHAHA!!」

と、アメリカのナイスガイのような笑い方で、最高の笑顔を見せてくれた。

この日の、小学生が「野球が大好きです!」とキラキラ答えているような、先生の無垢な瞳を忘れることはないだろう。

 

先生、今後ともよろしくお願いいたします。