上野広小路亭へ。
漫談ライブ
『安藤道場一門会〜中川モギリさん追悼回〜』
中川モギリさんとは、
安藤道場一門会初代受付の女性である。
カシラ(ユンボ安藤さん)いわくエイドリアン似。
つい先日癌でお亡くなりになってしまった。
まだ40代後半ぐらいの若さではないでしょうか！
ここ数年は実家の北海道の方に帰られていたそうですが、
初期の松尾アトム前派出所のブログには中川さんはちょくちょく登場する。
なんせ中川さんといえば受付のカリスマである。90年代のヒットドラマのほとんどが野島伸司脚本であるかのように
なべやかんさん主催東洋太平洋秘宝館タイトルマッチや米粒写経居島一平先生主催苦肉祭、
カッコつけて単独ライブのことを独演会と謳ってた頃の松尾アトム前派出所単独など
東京泥ライブの受付のほとんどは中川さんが担当していた。
泥ライブのお客さんのほとんどは男性が多い。
また出演してる芸人も男くさい男だらけ。
超男現場。
またそこにやってくる泥芸人達は口は悪く冗談のセンターラインはアンダーギャグが担い
女芸人のことは性の対象としか見ておらず
どことなく前科者の香りがするやばい連中ばかりである。
そんな地獄寄席達の入り口にいつも静かにやってきて
愚痴も言わず文句も言わず黙々と受付をこなすのだ。
また、打ち上げでは端っこの方で静かに呑み
芸人達の冗談合戦を聞いていつも静かに笑っている。
宮沢賢治みたいなお人じゃないですか！
イツモ静カニ笑ッテイルって。
いつしか中川さんは、
「1000枚(いっせんまい)モギった女」の異名を持ちはじめた。
1000枚もぎることがどのくらい凄いのかはあまりよくわからないが
その異名にはインパクトがある。
いつだったか中川さんにボクサーの彼氏ができた。
彼氏がボクサーってますますエイドリアンじゃん！！
中川さんの彼氏を応援しよう！ということで
カシラと俺と中川さんの受付友達のよーこさん(現安藤道場一門会受付)で後楽園ホールに応援に行った。
もうすぐ試合がはじまるのになかなかカシラがあらわれず
中川さん「安藤さん仕事じゃないかな」
松尾「そうなんですか！まあいいや、とりあえず呑みましょう！」
なんつって試合前はビールを呑みながら
「ああいうタイプあしたのジョーに出てきましたよ！」とか
「コイツの入場曲ダセェっすね！」とか
「ボクサーの名前しりとりでもします？」とか
中川さんもよーこさんも喋べらないんで僕が一方的に喋り
いざ中川さんの彼氏が出てきたら
松尾「中川さん！これ勝てますよ！あいつ(対戦相手)キッズリターンのモロ師岡みたいな奴ですよ、きっと！」とか言ってたら
1R開始20秒ぐらいで中川さんの彼氏はマットに沈められた。
後楽園ホール内に中川さんの「たかゆき〜！(彼氏の名前)」という応援がこだましその直後、
ボフッ！
それでKO負け。
これラジオで聞いてたら、
「さあ、試合開始です！カン！たかゆき〜！ボフッ！」
でしょうね。
中川さんは泣きじゃくっていた。
俺とよーこさんは無言でただただ前を向いていた。
そのときカシラからメール。
「気まずいだろ！？」
あたりを見回したらカシラ発見！
なぜかカシラはボクシング関係者席から見ていた。
どっかのボクシングジムの会長さんらしき人と談笑しながら
「あの若手パンチもあるしバネありますね〜！」みたいな感じで。
メール。
「何やってんすか！？早くこっち来てくださいよ！」
「あとから行くからしばらく励ましてあげなさい！」
まあ、今でこそ関東のお笑いシーンでは冗談の達人と恐れられている松尾ではあるが、
当時としたらまだ三段オチとかノリつっこみ覚えてたてみたいな時期で
泣いてる中川さんに何言ってもウケないのであった。
ボクシングというスポーツの残酷さと
自分の冗談のストロー級(かなりの軽量)ぶりを恨むしかないのであった。
こんなこともあった。
これはたぶん俺しか知らないだろうが「モギリメモ！」というのが存在するのだ。
中川さんは受付ノートみたいなのを持っていて
いわば受付日記みたいなものだが、
自分が受付を担当したライブのここがいい！が毎度記されている。
たけしさんの「たけしメモ！」の逆版である。
こんなライブはいやだ！じゃなくてこのライブのここがいい！
僕の一発目の単独松尾アトム前派出所独演会「おもしろソーダ」のモギリメモを見せてもらった。
「予想を裏切って大盛況。私が担当した単独ライブで動員数過去最高記録！」
やさしいお姉さんではないですか！！
また、当時東京泥芸人界のただのザコだった僕を
中川さんが優秀な若手芸人という触れ込みで東京ボーイズの仲八郎先生のイベントに推薦していただき
それから何回も仲先生のライブに出演させていただいて勉強させていただいた。
やさしいお姉さんではないですかパート2！！
今日の漫談ライブは、
中川さん追悼回ということで中川さんの話をしようか迷ったあげく
お亡くなりになった方の話をしてもウケない気がしていもひいてやめた。
ただ、普通のまんだんもたいしてウケなかったわあ！
なんじゃい！！
カシラは全編中川さんとの思い出をまんだんにしてた。
終わったあと「全然ウケねえじゃねえかよ！」とおっしゃってましたが
これに関してはハッキリ言ってやろう！
お客さんが悪いわあ！
全員マグロみてえな客か！全然響いてないだもん！
破れ太鼓寄席かよ！！
チャップさん(ケチャップリンさん)も
「俺、マクラで中川さんの話するよ！」と本番前言ってて
いざ放り込んでた中川さんまんだんは、
ものの見事にいけないスベリ方をしていた。
これに関しては僕はお客さんの味方です！
ダメだよ！チャップさん！
しかも、中川さんの話で1個も笑いをとらないあげく
その後「ダンカン一門会」というライブ告知をボケなしで行っていた。
いや、マクラで中川さんの話で本ネタ告知かよ！！
なんだろか！これは！
ちょっと今後先輩だろうが目に余る行動に関しては
僕ブログで皆さんにチクりますね！
安藤道場終わり、
中川さんと所縁のある人達で
「中川モギリさんを偲ぶ会」を行った。
最後は「テンカウントモギリ」で中川さんをお見送りだ！
テンカウントモギリは、テンカウントに合わせて
牛丼の無料券だとかまだ観に行ってない映画のチケットだとかもうなんでも勝手にモギってしまうのだ！
(ただの迷惑行為だろ！！)
中川さんみたいないいひとは確実に天国に行くでしょう！
閻魔大王の側近の鬼みたいなやつが
「この女は天国にします？地獄にします？」
閻魔大王も大きくくい気味に「天国！」と高らかに言いはるわあ！
中川モギリさん！
いっぱいいっぱいありがとうございました。
御冥福をお祈り致します！
