去年書いたものから遺伝とはなんぞやという理解が進んだので復習も兼ねて 


相変わらずゼロ/スティンガーが謎遺伝と言われてますが 、いろいろな情報を解釈してみて改めて持論を書くと 


"ゼロ/スティンガーはパターンレスに近い距離の遺伝子" です 



とりあえず結論が欲しい方は上記でオッケーです 


ちなみに言うと巷でよく言われるパターンレスの対立遺伝説、 私の仮説的にはブリードにおいても大差ないです

特にsuper'sを作りたい場合は 

逆に子孫にzero/stingerを作りたい場合は要注意です



ついでに言っとくとウチのブリードはまだ検証段階なのでこれが正解だと確信しないようお願いします、あくまで持論なので


 それでもモルフをメンデルの法則から一歩進んで考えるには楽しいと思うので、モルフ計算だけでは語れないブリードを楽しみたい、触れてみたい方はちょっと読んでもらえたら嬉しいです 



さて 以下はzero/stingerのよくある特徴です


・ホモ体になるとパターンレスになる 

・パターンレスの対立遺伝子である 

・不完全顕性モルフである 

・パターンレスのマーカー遺伝子 

・表現に強弱が存在する 

・スーパー体からノーマルが生まれる 



こんなところかな


細かい情報集めればもっとあるけどこの辺が謎を謎たらしめている原因ですね




まず、パターンレスの対立遺伝子説ですけど、 かなり怪しいところがあります


というのも、SNSやフォーラムを漁っていると

super zeroから生まれた子供にノーマルが生まれた、

という報告をちょくちょく目にします


無論、試した人が全てが親の親まで確認してブリードしてるわけじゃないし

適当にパターンレスをsuper'sとして販売した可能性もなくはないのでしょうけど

それにしても多い気がします 


かといって頭から対立遺伝説を放り投げてるわけではないのですけどね、

さすがにそこの理由まで書くと腱鞘炎になるんですけど対立遺伝の可能性はなくはない、です

私が言いたいのは対立遺伝"だけ"では片付かない話なんじゃないの?ってことです


情報がある以上、それをノイズとして片付けてしまうのはもったいないしね、

何か別の要因が関わってる可能性を考えるべきでしょう


では話を整理すると 対立遺伝ではないと一旦仮定した場合、

まずはよくある不完全顕性説

これについては対立遺伝子説より前から唱えられているとのことです


調べた限りでは、zero/stingerをパターンレス遺伝子とは区別した上で不完全優性として報告した例が多いみたいですね


これに関しては否定要素は特にないですが

これもsuper体ありきなので

結論全てがzero/stingerにならない点で少し弱い…

私はsuper zeroはパターンレスに上書きされたと解釈します


何かというとマーカー遺伝子の話に絡むんですけどzero/stingerってほぼパターンレスをhetで持ってるんですよね、

確かに 私実際自分の周りで明確にパターンレス持ってないzero/stingerを見た事ないです(伝聞で分離に成功したという話は耳にしたことありますが、どう調べたんだろう…)


で、この場合考えなきゃいけないのが

別座位の遺伝子だとしてもなぜhetパターンレスを必ずもっているのか?

だからこそ対立遺伝が疑われるわけですけども

上記のsuper'sからノーマルが生まれる件と hetパターンレスを持っている可能性が非常に高いのはなぜか

super'sがパターンレス様ならばパターンレスになった時点でその子供は必ずヘテロでzero/stinger遺伝子を持つはず


この二つを説明する結論だけ言うと



パターンレスとzero/stingerはごく近い遺伝子である 


ってことなんですよ

この辺がメンデルの遺伝の法則に従わないところ

(厳密に言えば不完全顕性も含め)



そもそもマーカー遺伝の話を飛ばしてました


単純に言えば「この特徴持ってる場合はhet遺伝子を持ってるよ」の部分の遺伝です


だから今回で言えば、

zero/stingerが特徴に出てる場合hetパターンレスを持ってるよってことですね


なるほど、じゃあzero/stingerはパターンレスと同じ遺伝子なんだ!

…ってならないところが面白いが遺伝の難しいところ


そもそも遺伝子は配列になってまして

配列の場所を指して座位といいまして

それを父母から一本づつ受け取ってくるのが遺伝の基本


メンデルの言うところでは基本独立して遺伝することになってますが実際はある程度セットになって遺伝します。これを連鎖遺伝と言います


この連鎖遺伝の強さは遺伝子間の配列の距離である程度決まります(実際は強い場所、弱い場所とかあるそうですが、基本的には距離)


つまり親がzero/stingerであればhetパターンレスはセットで持っている(可能性が高い)

という理屈は遺伝として全くおかしくありません


だから、zero/stingerはパターンレスに含まれているマーカー遺伝子だよ、って考え方ができるんですよね


でなんでセットのはずが遺伝が突然ノーマルになるのかというと、

「遺伝子の組み換えが発生する」からなんですよね。

独立の遺伝に基づいた場合は可能性は常に50:50ですが、近い遺伝子はそれよりずっと低い可能性で遺伝する/しないが発生するわけですね


その結果zero/stingerが引き継がれない可能性が存在します


それがsuper'sからノーマルが生まれる理屈だったりします




こっからは蛇足なんですが…





実を言えば不完全顕性を否定しないのであれば対立遺伝でも十分説明可能です

セットで遺伝すると考えたら対立遺伝とほぼ同義なのでそこにも異論はないです


ただ誠実さを求めるのであれば


・対立遺伝+不完全顕性


表現が出ていなくても


・パターンレス poss ゼロ/スティンガー


とするのが誠実な気がしますね

これは別座位でも同様です


ただ裏を返すと不完全顕性を崩さない限りは対立遺伝と別座位のどちらかの証明は不可能なんですよね


対立遺伝の場合、表現が出ていなくとも祖先を辿れば遺伝確率は計算できちゃうのでそこら辺の検証をウチでは今行ってます

母数があまりないのでゆっくりとではありますが…


分離する可能性の残るものを私は対立遺伝とするのは軽率かなーと感じるので私はあくまでは別遺伝と持論を持ってますしその前提でブリードを組んでます


逆の場合はzero/stingerがhetパターンレスはほぼ同義になるので特にブリード計画に支障はないという認識です



この検証こそがブリードの面白いところで深掘りすると

組み換えが起こっているのか、不完全顕性なのか、

多因子遺伝なのか、エンハンサー遺伝はあるのか、修飾遺伝の影響はどうか…


ぜひ興味の出た方は謎を謎のままにせず、自分なりの検証をしてみてくださいな

もし仮説に困ったら私でよければ一緒に考えますので声をかけてください