何回か行ったのに
どの記憶も
カーステレオで
「海を見ていた午後」を聴きながら
坂をのぼってお店に着くまでで
途切れる。
恐ろしいことに
最初に行ったのは
41〜2年も前のこと。
《山手のドルフィンは静かなレストラン》
当時は
ソーダ水がメニューになくて
歌ありきで増やした。
だから
《ソーダ水の中を貨物船が通る》
風景は荒井由実の創作。
《山手のドルフィン》もほんとは
《根岸のドルフィン》
山の上のドルフィンではあるけれど。
「MISSLIM」と「ひこうき雲」の
アルバムが大好きだった。
「14番目の月」までは
荒井由実をよく聴いていた。
いまでも聴いたら
胸がちくりと、、、
しない?か?

いまとなっちゃ
坂をのぼってきた静かなレストランで
大笑いしたり
写真とりまくったり
紙ナプキンに
忘れないで
なんて書いても
ネタになるくらいのもん。
洗面所のボウルまでパチリ
海を見ていた午後
あなたを想い出す
この店に来るたび
坂をのぼって今日も
一人来てしまった
山手のドルフィンは
静かなレストラン
晴れた午後には遠く三浦岬も見える
ソーダ水の中を貨物船が通る
ちいさな泡も恋のように消えて行った
あのとき眼の前で
思い切り泣けたら
今頃二人ここで海を見ていたはず
窓に頬を寄せてかもめを追いかける
そんなあなたが今も見える
テーブル越しに
紙ナプキンには
インクが滲むから
忘れないでってやっと書いた遠いあの日
やっぱり
わたしでさえ、
今夜は甘酸っぱい夢、見ちゃうかも。
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