2016年4月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
おはぐろとんぼ (実業之日本社文庫)
<父親の跡を継ぎ、日本橋小網町の料理茶屋で
料理人を勤めるおせん。
上方で修業をし、新しく親方になった板前の銀助と
たびたび衝突しては、店にほど近い稲荷堀の水を眺めて
心をしずめていたが―江戸時代小説集>
宇江佐真理さんの描く女性があまり好きじゃなかったので
これはいまごろになって初めて読んだ。
女性の料理人の話だったせいか
高田郁さんの澪さんと重ねながら面白く読みました。
読了日:4月2日 著者:宇江佐真理
<だからこそ潜るのだ。
誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。
3・11から五年目となるフクシマ。
非合法のダイバーは人と町をさらった立入禁止の海に潜降する。
慟哭の夜から圧倒的救済の光さす海へ。
鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作誕生>
「わたしには神様がいるのーーー
毎日三人の寝顔をみては、
ありがとうございます、ありがとうございますって、
上の方に向かってお礼を言ってるの。
水希と暁生がパパの背中に乗っかってるのを見ては
ありがとうございます・・
三人のごはんを作りながら、ありがとうございます。
おトイレを掃除してても、こみあげてくるものがある。
ありがとうございます、ありがとうございますって
わたしは毎日毎朝毎晩お礼を言ってるの」
鼻の奥がつんときた文章です。
死を意識しているための生の象徴なのか、
性の部分を出すのはわかるけれど
なにか唐突な感じで違和感があった。
主人公とも著者とも性的なものがあわないからなのかな。
読了日:4月9日 著者:天童荒太
<伊三次が仕える不破友之進の息子・龍之進も、
自らの小者を持つことに。
真っ先に頭に浮かんだのは、
かつて自分が捕えられなかった男だった>
最初に読んだ時からファンだったシリーズも
宇江佐さんの逝去により、あと一冊となった。
途中の中だるみの時に
続けていくのが、これまでの話をだめにしてしまいそうで
やめればいいのにと思っていたこと、ごめんなさい。
時間の経過で主役が変わって行くのも今思えば自然だったのかも。
読了日:4月12日 著者:宇江佐真理
<あの日あの場所で何が起きたのか(「道成寺」)、
助けられたかもしれない命の声(「黒塚」)、
原発事故によって崩れてゆく言葉の世界(「卒都婆小町」)など、
エンターテインメントの枠を超え、研ぎ澄まされた筆致で描かれた五編>
書いてあることが真実なら、とても怖い。
避難区域の解除も、
当時の風向きの情報を流さなかったことも、
ほんとうのことなら政府って一体なんなの?って思う。
これを読んでいるときに熊本の大地震。
大丈夫だと言われている川内原発が心配になる。
原発って必要なの?
オリンピック、やってる場合なの?
読了日:4月15日 著者:柳広司
<幼い頃に連れ去りにあい、失明した愛子。
借金を残し失踪した妻・優奈を捜す、漫画家の礼遠。
行方をくらました優奈は、誘拐犯の娘だった。
事件から12年、魔の手が再び愛子を襲う! 戦慄のサスペンス・ミステリー>
なんでこの人の本が出ると読むようになったのか
考えてしまうほどの作品。
不条理すぎる暴力、二度の誘拐・・
どこがおもしろいのかわからなかった。
読了日:4月18日 著者:芦沢央
<仕事なし、彼女なし、借金あり。
とにかくツイてない。
律儀なことが唯一の取り柄。
そんなノボルに持ちかけられたのは、
絶対に失敗するはずのない完全誘拐計画。
その報酬は一千万円。
人生を立て直すためのたった一度の犯罪。
そう誓って受けたこの仕事。
だが彼は、身に覚えのない事件の殺人犯になっていた>
この人の漫画は読んでいないけれど
小説は読みやすく面白いと思う。
読了日:4月20日 著者:木内一裕
<華族に生まれ陸軍中将の妻となった顕子は、
退屈な生活に惓んでいた。
アメリカ大使館主催の舞踏会で、
ある人物を捜す顕子の前に現れたのは―
(「舞踏会の夜」)。
ドイツの映画撮影所、仮面舞踏会、疾走する特急車内。
帝国陸軍内に極秘裏に設立された異能のスパイ組織“D機関”が
世界で繰り広げる諜報戦。
ロンドンでの密室殺人を舞台にした
特別書き下ろし「パンドラ」収録。
スパイ・ミステリの金字塔「ジョーカー・ゲーム」シリーズ>
娘が見ているアニメ「ジョーカーゲーム」を一緒に真剣に見ている。
キャラクターの子供っぽさはなんだけど
話は忠実に起こしていて面白い。
それで、そうだ、この本をもう一度読んでみようと思ったら
驚くことに読んでなかった・・・・。
まだ読んでいなかったお得な気持ちと
読んだと思っていて読まないで来た損した気持ちと複雑だった。
でも、やっぱり!
かっこいいし面白かった。
「舞踏会の夜」好き。
読了日:4月25日 著者:柳広司
<夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。
夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。
翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、
四年目にはさらに凄惨な事件が。
優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。
甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、
最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる>
長い待ち時間の病院で読んだ。
病院に行かなかったら読まずに図書館に返却していた。
それでもよかったような本。
読了日:4月26日 著者:米澤穂信
<うるう年のうるう日のように、「余りの1」が
世界のバランスをとることがある。人間もそう。
世界でたったひとり余った人間「うるうびと」。
彼が少年と友達になれなかった理由とは……。
うるう年にだけ上演される舞台『うるう』を
脚本・演出・出演の小林賢太郎自身が絵本化!>
【 この物語の題材は「2月29日」うるう年のうるう日です。
4年に1日しかない日があるなんて、
すごく不思議で面白いと思ったのです。
しかもそれは僕の創作じゃなく、暦の事実。
だから、この物語をつくったときは、
「つくった」というよりも「導かれた」という感じでした。
この本を開くと、そこにはあやしい森が広がっています。
主人公の少年と一緒に、どうぞわけいってください。
ゆっくりと、じんわりと、特別な時間の流れを楽しんでいただければと。 小林賢太郎 】
読了日:4月26日 著者:小林賢太郎
<高校生の心中事件。
二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と 呼ばれた。
週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。
滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――
己の身に痛みを引き受けながら、
それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録>
この著者の前述のような話や太刀洗モノの長編より
短編のこの本の方が好き。
読了日:4月27日 著者:米澤穂信
心と体をあたためる、一生モノのレシピが見つかる。
(主婦の友実用No.1シリーズ)
寒いときに食べたいなと思って図書館に予約したら
手元に来たのが暖かくなってからだったので
ぱら~と眺めて終えた。
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