数年前に読んだ本を再読しました。

前回読んだ時はあまり好きじゃないと思ったのですが、

今回は、なんと、、、涙した場面もありました。(不思議です(笑))


この話、女性が書いたものだとばかり思っていましたが、

男性でした。蓮見圭一さんという方です。

後でこのことに気が付いて、なるほど、納得という気もしています。



これは、四条直美という女性が病床で吹き込んだ四巻のテープを起こしたものである。


このテープの中で語られている話の時代は、

ちょうど私の両親が若い頃、1970年の大阪万博の頃です。

私はこの時代にちょっと憧れを持っています。(古き良き時代というのでしょうか)

このころの話って、雰囲気がどれも似ていると思うのです。(ノルウェイの森とか。。。)

高度経済成長期だからか、とにかく人が熱い。 

でも、現代の若者よりずっと不自由で、堅いんです。


この四巻のテープは直美が娘(葉子)に宛てたものです。

テープの内容は、娘の父親(直美の夫)に到底伝えらえるようなものではなく、

その為、娘(葉子)の夫の「僕」がこのテープをまとめ、直美の死後、

直美が一生愛していた男性(臼井)にそのテープを聞かせに行きます。

その辺の最後の方のくだりは、あってもなくてもいいかな と思うけれど、


1970年代の若い直美はステキです。

彼女のすごく尖っているところや、周りが馬鹿に見えているような態度。

実はすごく弱いところ、感情の激しさ、恋をしている女性の部分、

そして、過去の過ち(差別)に対する後悔の気持ち。

彼女の考え方には共感できる部分がたくさんあります。


父親から

「女が不幸になるの家にじっとしていられなくなった時に始まるのだ」

と言われ、


 真実を含む言葉だと言えるでしょう。
  
  男であれ女であれ、家にじっとしている限り、人は幸にも不幸にも出会うことはないのだから。
  
  私が恐れているものはまさにそのことでした。
  
  この先も自分の人生には何事も起こらないのではないか。
 

(私も、10年前に同じことを思いました。。。)

こうして彼女は親の反対を押し切って、大阪へ旅立ちます。

そこで万博のコンパニオン(その当時はホステスと言ったらしい)になるのです。

そこで、彼女は恋をします。

誰もが一目置く、優秀で謎の多い男性。

臼井を好きになるのです。



今の時代の私から見ると、

なぜ、こんなに賢くて、悪ぶっていて、お嬢様で、強い女性が、、、

「好きになった相手が実は朝鮮人だった」

というちっぽけなことで、

こんなにも怖がったのか?落ち込むのか?諦めるのか?

不思議でなりませんでした。

自分の祖父がA級戦犯だったという話も織り交ぜられていて、

差別に対して考えさせられる部分を大いに含んでいますが、


私なら、たぶんそんなこと(朝鮮人もA級戦犯も)気にしない。

苦労することもあるだろうし、親から嫌がられるかもしれないけれど、

でも、自分の強い気持ちを抑えこまないといけないことに比べたら、

そんなことちっぽけなことに思えるはず!


でも、私が、そう思うのは今だからなのかもしれません。

しかも、親が私の親だからかもしれません。

(親は私がどんなことをしても最後は見捨てないと思っているから。。。)


あの時代で朝鮮人の伴侶。

それは厳しいものだったのかもしれません。

今の時代で、同じくらい苦しむ条件って、なんだろう?と考えました。


実は死刑囚(有名な連続殺人犯(宮崎務クラス))を父親にもつ男性と恋に落ちて、

途中でその事実を知るくらいの衝撃でしょうか?(これで気にしないと思えるか。。。)


差別する感情の底にあるのは恐怖心に他ならない
  


娘に伝えるのと同時に過去の自分に言いたかったのかもしれません。



終始暗めな話ではありますが、

直美は過激なことを結構言います。(娘宛なのに)

結婚して子供もいながら、臼井のことをずっと好きな彼女は

どれほど多くの人がこの同じ苦しみを抱えているのだろう?という疑問に

あっさりと、

「結婚している人の数だけ」




 程度の差こそあれ、胸の内に他の誰かを思い描かない既婚者などいるはずがない
  

言い切ります。(笑)


この発言、、、石田純一みたいになりますよ。。。


でも、最後の彼女からのメッセージはステキです。

本文そのまま載せます。


この人生に私が何を求めていたのか--------

ここまで根気よく付き合ってくれたなら、もう分かったでしょう。

私は時間をかけて、どこかにあるはずの宝物を探し回っていたのです。

ただ漠然と生きていては何も見つけることはできない。

でも、耳を澄まし、目を見開いて注意深く進めば、きっと何かが見えてくるはず。

四十年以上の歳月をかけて、では私はどんな宝物を見つけたのでしょう?

訊ねられたとすれば、こう答えます。

私は臼井さんを見つけ、夫やあなたを得た。

その結果、途方もない感情の激しさを経験することができた、と。
 

 
 
 あなたは何をしたいのか。
 
 何になりたいのか。
 
 どういう人間として、どんな人生を送りたいのか。
 
 それは一時的な気の迷いなのか。
 
 それともやむにやまれぬ本能の訴えなのか。
 
 耳を澄まして、じっと自分の声を聞くことです。
 
 歩き出すのは、それからでも遅くはないのだから。。。