監督ダンカン・ジョーンズがデヴィッド・ボウイの息子というのも話題な様ですが…
最近のSF作品としては秀作です。
もちろん、映画としても小品ながら傑作です。
SFXやCGによる“見せるSF映画”ではありません、映像や世界感の構築では敵いませんが、SFとしては『アバター』より、遥かにリアルな作品です。
SFの本来は、奇抜な未来社会や世界の終りを描くことではなく、社会の矛盾や日常に潜む恐怖を科学技術や科学的な予測を基にして描くことなのです。
SFを文学のジャンルとして最初に認めたのが、ミステリー作家たちであったのも、科学的予測=推理を基にしたからです。
SF論は兎も角、英国SFらしく、風刺と皮肉の効いた本作は、本来のSFらしさを求める方々に絶対のお勧めです。
芝居としても、良い出来です、主演俳優と声優さん、素晴らしいです。
月面で起た事件の謎解きは、カンの良い人ならすぐに解ると思いますが、その後の展開は、演技力と、ばら蒔かれた伏線により、思いもかけぬ哀しさと重苦しさを味わうことになるでしょう。