足跡 | 頑張る

足跡



雨上がり


道がぬかるみ、足跡が残る



僕はその足跡をなぞるように遊びながら歩く…



待ち合わせは雨

小雨に空を仰ぎ、まだまだ冬の空気を感じていた


少しだけ遅刻してきた君は謝りながら僕に傘を差し出す



僕はいつも傘を持たずに出る



単に面倒なだけなのだが、濡れながら歩くのも嫌いじゃないからだ


知ってか知らずか、何も言わず傘を差し出す


黙ってそれを受けとると、僕達は街中の映画館に向かった


前からの約束



いつか恋愛ものの映画を観に連れて行ってという…



その頃の僕はSFや冒険ものしか興味がなかった


暗がりで少しだけ君の顔を覗いた


真剣に見入っていた



時折見せる悲しそうな顔より、強く握ってくる手に感情を感じた



半ば程で僕の記憶は薄れ…


ざわめく帰り支度の音に余韻に浸ってたフリをしながら僕は慌てて立ち上がった



暗がりを出、冷たい空気に抜けると外は夕暮れ時


すっかり雨も止み、あかくなった空、君は少し興奮したように映画のあらすじを問いかける


そうだね、可哀想だったね



半分は寝てしまっていた僕は話を合わせる


雨上がりの公園を君は先に歩き、後ろから足跡に合わせ遊び歩きしながら


お腹減ったからご飯食べに行こうよ?



という僕に君は突然振り返り…


うん!


とニッコリとした笑顔にハッとした


僕はこの笑顔が大好きで一緒に居た



足跡に小走りで追いつき…



手を繋いで



何食べたい?



何でもいいよ


いつもの会話…


なぜか嬉しくて手をブンブンとしながら同じ歩幅で歩いた




もうずっと昔の話


雨上がりに思い出す…