20121219【社会】核廃絶 ゲンに託す 中沢啓治さん死去
東京新聞の2012年12月25日 夕刊の記事
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012122502000228.html
から引用
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原爆投下後の広島を生きる少年を描いた「はだしのゲン」で知られる漫画家の中沢啓治(なかざわ・けいじ)さんが、肺がんのため十九日午後二時十分に広島市内の病院で亡くなっていたことが二十五日分かった。七十三歳だった。広島市出身。自宅は埼玉県所沢市。近親者のみで家族葬を済ませた。喪主は妻ミサヨさん。
◆福島第一事故でも訴え 人間、制御できない
中沢啓治さんは晩年、がんなどに苦しみながらも、作品で訴えた原爆の悲惨さを教訓として伝える活動を精力的に続けた。
昨年三月の東京電力福島第一原発事故後には、本紙の取材に「まだまだ人間が制御できるレベルではない。つらくても、記憶と、建物などの跡を子々孫々に伝えていかなければ」と訴えていた。
二〇〇八年の本紙インタビューでは、原爆投下直後の広島で腕の皮膚を垂らして歩く人らを見た体験を証言。戦後に母親が亡くなった際、ぼろぼろの遺骨を見て原爆や戦争への怒りが噴き出したと、「はだしのゲン」執筆の動機を語った。
「はだしのゲン」の魅力では、一生懸命に生き抜く人の姿を描いた点を挙げ、「何回踏まれても大地に根を張り真っすぐに伸び、豊かな穂を実らせる『麦』がテーマ」などと話していた。
昨年八月、広島市の平和記念式典に初めて出席した。その直前には、福島第一原発事故の放射性物質流出を恐れる被災者を、放射能を含む黒い雨にぬれて「いつ病気になるのか」と不安を抱えた自身と重ねながら、「黒い雨は今も世界に降り続けているんです」と、核利用がなくならない状況を嘆いていた。