普通の日本人でクレタ島でお仕事する人は滅多にいない。いても観光関係がほとんどだろう。 そんな中で私は超例外的なお仕事人間なのです。

 

 

ホテルのロビーにさり気なく壺が置かれています。

ちょうど、日本では信楽焼や常滑焼、あるいは益子焼などがそれぞれの産地で焼かれている

歴史的な地場産業であるように、ここクレタの或る村が古代から陶器の産地でした。

 

 

迎えの車に乗って工房に向かいます。 迎えに来てくれたのは工房で修行中のヤニス。

彼との初対面は、まだ母親のお腹の中だった。 2、3歳ぐらいのときにも会っています。

前回会ったのは10歳の時、工房見学に来たボーイスカウトの団体に得意顔で説明して回っていましたっけ。すっかり、良い若者になりました。

 

 

クレタの町中風景。 車のガラスが汚くてきれいに撮れませんでした。

 

 

段々と山に向かって高度を上げていきます。 もうまったく海は見えません。

 

 

オリンピックを境に格段に道路事情が良くなったギリシャですが、オリンピック後はご多分に漏れず超不景気に襲われてしまいました。日本もそうなるのでしょうね。 ガードレールの向こう側に広がるのはオリーブ畑。

 

 

殺伐とした風景。

 

 

村の高校です。

生徒は減少、皆、街に出てしまうようです。 ここでも過疎化の問題を抱えています。

 

 

 

ぶどう畑が有りました。 ぶどうでワインを作り、皮で強烈なアルコール度数のUZOを作ります。無色透明の強烈な酒で水で割るとあっという間に真っ白に変わります。トルコではLAKIと呼ばれています。

 

 

村の、小中学校。 生徒数は100人ほど。

 

 

工房に着きました。前にも足を運んだ場所です。ここに引っ越す前の古い工房にも何度も来てます。

ギリシャ、クレタ島では雨の心配はまず無いので、焼き上がった陶器は外でそのまま保管。

 

 

まずは工房内を見て回ります。

全て手作りですので、 一つ一つの壺や鉢がろくろの上に並んでいます。

いっぺんに作ると自分の重さで変形して潰れてしまいますので、段階的に作っていきます。

 

 

職人さんが土台部分を作っています。

 

 

乾くと白っぽく色が変わっていきます。

 

 

作り上げたら乾かないうちに刻印を押します。

 

 

焼きを待つ倉庫。ここでもさらに乾燥させます。

 

 

第一段階まで成形された壺がある程度乾いて固くなったら2段めを作ってい行きます。

つなぎ目が綺麗につながるように水を与えて年度を足しながら作り上げていきます。

 

 

工場の一角に飾ってある昔の写真。 登り窯構造です。

 

 

燃料にはオリーブの絞りカスであるオリーブピッツが使われていました。

特産のオリーブ油のいわば産業廃棄物。エコですねえ。絞りカスと言っても多少の脂分を含むので、十分な高温が得られたのです。 何千年もこの場所で続けられて来た伝統産業です。

 

 

工房の端っこに有る小さな事務所。

でも、工房内のほうが明るくて涼しいので、そこに机を出して商談。

 

 

半ズボンの男が工房の主、マノリス。 もう何十年の付き合いになるだろうか。

駆け引きなしの本音で話し合える、心の通った商談が進みます。