秀満は、羽柴勢の嘲笑をものともせず、見事湖水を渡りきり、「左馬之助の湖水渡り」と呼ばれています。
一方、新史料には弥平次の名で登場します。
秀満はこれまで左馬助、弥平次の通称で知られていましたが、この正月、『乙夜之書物(いつやのかきもの)』という江戸時代の史料が見つかって話題となり、二人が別人として書き分けられていることが判明しました。
だとすると、「弥平次の湖水渡り」というべきでしょう。
新史料によりますと、瀬田橋を落とされ、行く手を阻まれた秀満は、
「船に乗って湖上を済らんと欲する」
と記載されていたといいます。
つまり、行く手を阻まれた明智勢は水軍を仕立てて安土へ向かおうとしますが、その際に秀満が指揮して船合戦となり、秀満が船に乗って戦った事実がいつの間にか、単身、馬で渡ったという伝説へ転化した可能性があるのではないでしょうか。
(つづく)
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