【給料の本質を知り、生涯年収を上げるために】
●給料は安くて当たり前、だからこそどうするか
残念ながら、給料を払う側である経営者の方が、常に力は上です。生活を送れる最低限の収入は最低賃金で保障されていますが、それ以上については、経営者の裁量次第なのです。労働組合という組織もありますが、中小企業では満足のいく活動は難しいでしょう。
給料はサボっている社員にも払う必要がありますから、「平均的な仕事量の社員が会社に与えた業績への貢献量よりも、低い額しかもらえない」ということが発生します。つまり、半分くらいの社員は「割を食っている」と感じて仕方がないのです。これは、受け止めなければならない事実であり、給料の本質の一つです。
しかし、「給料が安いのは仕方ないよね」と言って諦めていて、それでいいのでしょうか? 私はそうは思いません。
給料が低いことについて嫌だと感じるのであれば、上げるために方策を考えましょう。
●ダメな会社にはさっさと見切りを付けて転職を
会社員として勤め続けようと思うのであれば、どこに行っても心に留めておいてほしいことがあります。それは「経営者に過度な期待をしないこと」。特に自分が「この会社はダメだな」と思った企業には、そんなことを期待しても仕方がありません。
そんな時は、さっさと見切りを付けて次の職場を探す準備をしましょう。つまり、転職です。
幸い、近年の日本社会は転職者に対してかなり寛容になっています。伝統的な終身雇用の時代は終わり、これからは「自分の職業人生を自分の手で切り拓いていく」、そんな時代に変わりました。
インターネットの普及によって、全国どこでも転職の求人を探すことが出来ます。今勤めている会社にしがみつくかどうかは、他の会社を見てから決めても遅くありません。
●転職先の企業にも一工夫を
給料を上げられない業界や企業は、残念ながら間違いなく存在しています。
・競合他社が多すぎたり、少数の大企業がすでに市場を独占していたりする業界
・仕入額に対して販売額があまりに低く、超薄利多売型の企業
こういった会社では、そもそもの利益が少ないため、給料に還元する余力が出にくいのです。
給料をさらにアップさせるために転職を考えるなら、これまでの自分の経験を活かすことだけでなく、高い給料を払ってくれそうな新しい業種にチャレンジすることも、時には必要になるでしょう。
特に、これからの時代に必須とされる技術、例えば人工知能などの分野に飛び込んで経験を積むことで、自分自身にも付加価値をつけることが出来るかもしれません。
●副業のススメ
私が最もオススメしたいのは、副業です。正社員の仕事とは別に、個人事業主として何か事業を起こし、収入を得るという経験をしてみましょう。
副業のメリットは、お金の面だけではありません。自分で仕入から営業、販売までを経験することができるので、経営者としての目線が身に付きます。経営は一筋縄ではいきませんし、始めたうちはちょっとしたことで資金がショートする危険もあります。だからこそ、「本業として」ではなく、「副業として」始めることをオススメしたいのです。
もしそこで失敗したら、少し期間を空けて、また別の副業にチャレンジしてみましょう。会社員として生活していく上でも役に立つ学びが、たくさんありますよ。
副業を始める際に気を付けたいことは、主に二つ。
一つは、現在の勤務先が副業禁止ではないことの確認です。企業によっては社内規定で副業について言及されている場合もあるので、事前に職業規則を確認しておきましょう。なお、公務員は副業が法律で禁止されています。また、社内規定で明文化されていなくても、勤務先の職種と同業となる副業などは、過去の判例上解雇の対象となりかねないので、注意しましょう。
もう一つは、税金の申告です。副業で得た所得は、低額であれば申告の義務がありませんが、ある一定のラインを超えると申告義務が発生し、所得税や住民税の課税対象となります。詳しい内容については年によって変わりますので、インターネットなどで検索しておきましょう。
●安易な独立起業は生活の崩壊を招く
副業である程度うまくいったからすぐに独立起業しよう、と考えると、痛い目を見るので要注意です。
給料は、会社の業績が良くても悪くても、仕事の質がどうであっても、また病気や怪我で入院した時も、払い出してもらえる「不思議なお金」です。個人事業主や起業者は、自分が仕事をできない状態になったとき、保証してもらえる給料がありません。これが給料のもう一つの本質。つまる、「給料は安定して受け取ることができるお金である」という点です。
副業が軌道に乗っているときは見落としがちですが、独立起業者は、業績の低下がすぐに自分の生活資金に直結するということを、絶対に忘れてはいけません。
●自分なりの人生をどう生きるか
人生百年時代と言われる現代。現在は六十五歳まで働くことができますが、二十代前半の方々が六十歳を迎えるころには、定年が七十歳や七十五歳になっていてもおかしくありません。この四十年、あるいは五十年という長い時間を、仕事をしながら過ごしていくわけです。だからこそ、これから就活を控えているという人は、仕事選びは慎重に行ってほしいと思うのです。すでに社会人となっている方は、これからどう仕事と向き合っていくか、ぜひ考え直してみてください。
私は、冒頭でもお伝えした通り、かなり適当に、その場の流れで仕事を決めました。結果、その会社は三年と経たずに退職しています。これは「就職大失敗」と言ってまず間違いないと思います。
しかし、失敗のお陰でいいこともありました。
会社員として働きながら個人事業主として副業をはじめ、法人化をしました。勤めている企業の経営方針や自分に払い出されている給料に対して疑問を持たなかったら、多分こんなことはやっていなかったと思います。
そして、自分で経営者となってみたからこそ、会社がどうして給料をなかなか上げてくれないのか、そして給料というものは本質的にどういうものなのかについても、考えを巡らせることができました。
最後になりましたが、知っているようでよく分からない「給料」というものについて、本書を通じて少しでも考え、あるいは知るきっかけとなり、皆さんが後悔のない職業人生を送られることを祈念いたします。