この前、酔っ払いのおっさんに
「お前は、世界が見えるんか。」
と絡まれた。
そんなこと知るか
と突っぱねたけれど、 聞くところによると、そのおっさんはどうも末期ガンらしい。
おっさんの言ってることの9割は意味不明だったけれど、もしかしたら、自分には見えていないものが見えていたのかも知れない。
それこそ世界が。
「お前は、世界が見えるんか。」
と絡まれた。
そんなこと知るか
と突っぱねたけれど、 聞くところによると、そのおっさんはどうも末期ガンらしい。
おっさんの言ってることの9割は意味不明だったけれど、もしかしたら、自分には見えていないものが見えていたのかも知れない。
それこそ世界が。
ゆっくりと頬を撫でる涼しい風の行き先を睨みながら、彼女は明日からの脱出の話を始める。
かたかたと目の前を電車が流れる。
「過去に足を捕られて、一分後の未来さえ見えないなんてあんまりじゃない。」
見えないからこそ、人は明日に向き合えるんだ
「あなたって、ほんとに楽天的ね。信じられないわ。」
そう言った彼女は、
じゃあね
と言って電車に飛び乗った。
一時間後に彼女から来たメールには
「信じられないのは、あなたの楽天的過ぎるところであって、嘘をつくのが下 手すぎるあなたを信じて、私は度々あなたの隣に居ます。」
と書かれてあった。
僕は照れ隠しにしかめ面をして、ひとつ咳払いをした。