買った、『人造人間キカイダー』Blu-ray | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『人造人間キカイダー』のBlu-rayを買いました。

 

謎の秘密結社ダークにより作られたロボット、グレイサイキングの前に現れた一人の男。

彼の名はジロー。ダークに捕らわれた身でありながら、光明寺博士が秘密裏に開発を進めていたロボットだ。

罪もない人々を痛め付けるダークの野望を潰すため、ジローはもう一つの姿であるキカイダーにチェンジし、ダーク破壊部隊のロボットたちと戦う。

比類なき強さを誇るジロー=キカイダーではあるが、組み込まれた良心回路が不完全であるばかりに、ダークの首領プロフェッサー・ギルの笛の音に苦しめられる。

光明寺が消息を絶った今、ジローの良心回路を完全なものにできるのは光明寺の娘であるミツ子ただ一人。しかしジローは良心回路が不完全なままである事を望み……といったお話。

 

石森章太郎さん原作の70年代ヒーローと言えば、勿論のごとく『仮面ライダー』が思い浮かびます。

本作も同じく変身アクションヒーローの活躍を描いた作品で、やってる事も大同小異ではありますが、ドラマ要素に関してはこちらの方が上だと思っています。

何しろ原作(漫画)版はちょっとした哲学書とも呼べる内容ですから…。

 

得てして、この手の作品はヒーローが敵組織の暗躍を追うのが常で、敵が動かない限りドラマが生まれない。つまり、敵がおとなしくしていればヒーローは手持ち無沙汰になってしまうんですよね。

本作もそんなヒーロー作品のワンパターンに倣ってはいるものの、事務的に敵の動向を探るばかりでなく、こちら側に抱えているちょっとした問題をクローズアップする(時もある)ので、まーたいつもの似たり寄ったりの話かと思う事が少なめなのがいいんです。

大筋から逸れる横道が多くて長いほど世界観が広がるものですしね(徹頭徹尾、最後まで一貫していればの話ですが)。

 

とりあえず、3話まで鑑賞。

所詮は70'sヒーロー番組、子供向け番組=ジャリ番と蔑まれていた頃の作品ですから、もちろん至らない点は多々ありながらも、けっこう挑戦的な事をやっているのが見て取れます。

その一つが恋愛事情で、先に述べた横道の代表格です。

この手のヒーロー作品で、ヒーロー側の恋バナを明確に描いたのは『鳥人戦隊ジェットマン』が初とされています。そこから遡り、ヒーローが恋をしているように見える作品は多々ありますが、本作もその中の一つです。

各回に必ずあるものではないものの、随所で見せるジローとミツ子のすれ違う思いは我々視聴者が勝手に思い込んでいるわけではなく、作り手側も少なからず意識はしていたんじゃないかな?

ミツ子は光明寺のキカイダー開発に立ち会っているから、キカイダー=ジローの体内が機械である事も熟知している。ジローもそれを知ってはいるけど、ミツ子には見せたくないし、見られたくない。自分が機械ではなく人間=男として振る舞ってきた証というより、強がりと言った方が正確でしょう。この辺は原作を上手くアレンジしていますね。そんな秀逸な点も、次の回になると忘れちゃうんだけど(笑)。

ダークに対しては超強気だけどミツ子に対してはこんな感じで、時折見せるジローのいじらしさが可愛いんですよ。まるで、主人の言い付けを死守する忠犬のようじゃないですか!

 

この頃の変身ヒーロー作品に登場する女性レギュラーの中でも、本作のミツ子に関しては割と重要な立ち位置にあるキャラで、添え物程度のチープな役ではありません。ジローが戦う理由の、割と大きな割合を占めているとも思うんだよね。

回を重ねてくると、自分が作ったロボットという感覚を忘れて、もはやジローを人間として見るようになってくるのがいいんですよ。それどころか、だんだん重い女になっていく(笑)。

何より、演じている水の江じゅんさんが可愛いくってね。ミニスカ&ナマ足という70'sファッションもオシャレでカワイイ! そんな危なっかしい恰好でありながら、中身は絶対に見せないという70年代モラルの安心感…。

 

ミツ子がジローに向ける感情が、単に自分が作ったロボットに向けるそれではなく、どんどん超越したものになっていくように見えてくるのは不思議な話ではなかったようです。

何しろ、水の江さんはジローを演じていた伴大介さんを……というんだから、感情も乗った上での熱演だったのかもしれません。

これを裏付けるのは、

ジローを演じた伴さん&イチロー=キカイダー01を演じた池田駿介さんの共著、『キカイダー賛歌』。

伴さんと池田さんがそれぞれ作品を振り返り、キカイダーと縁のある人たちの下を訪ねた模様が載ったものです。

対談相手は吉川進さん、うえだ駿さん、飯塚昭三さん、長坂秀佳さん、そして石ノ森章太郎さんという豪華っぷり。本著は1997年に発行されたものですから、まだ存命中だった方々との対談は貴重です。

先の、水の江さんのエピソードはうえださんによるもので、伴さんは番組終了から25年が過ぎたこの対談で初めて知ったそうです(このすれ違いもキカイダー世界っぽい…)。二人の間を取り持ち役を任されたうえださんは、私生活でも三枚目なのかよと落胆したんだとか(笑)。

そして石ノ森さんとの対談は最大の読みどころ。

伴さんは伴大介→伴直弥→伴大介と芸名が変わっていますが、この対談は元の芸名である”伴大介”に戻す報告も兼ねていたそうです。そもそも“伴大介”という芸名は石森さんに付けてもらったものだったそうなので、これは感慨深いですね。大御所は懐が深い!

 

――という事で、観始めた『人造人間キカイダー』。

まぁ、昭和ヒーロー作品の宿命である(笑)ツッコミどころやハンペンのギャグ(これが本当に面白い!)に笑いながらも最後まで見届けます。

最終回までゴゴッゴー!

 

ちなみに、国内版の廉価版も出ていましたが、

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安くはなったけど、合わせて2万超えな上に、こちらには映像特典はない。

ん~む……と悩み躊躇っていたので、さらに安いあっち版が発売されてありがたいよ。映像特典もあるしね(国内版と同じものかどうかは不明)。

あ、劇場版の収録もありません。