引き続き『このこ誰の子?』を観ています。
▲歌い出しと同時にタイトルが出るタイミングが完璧すぎる
いやー、やっぱり面白い。
回を追うごとに徐々にキャラが増える事で人物相関図(というか人間関係)も更新され、それに伴い様々な変化が訪れるおかげで、どんどんドラマの世界が広がっていく。正確には泥沼化していくというか(笑)。
とっくに古い作品ながら、連続ドラマとしての面白さは一級品です。
今のところは顔見せ程度の出番しかありませんが、梶芽衣子さん、梅宮辰夫さん、名古屋章さんあたりが登場すると大映ドラマ感が一気に強まります。絶対にチョイ役じゃ終わらないじゃん(笑)。
この辺の大映ドラマの常連さん方が出演しているという予備知識がなかったので、どこまでドラマに絡んでくるかも楽しみです。
――という事で、現在6話まで鑑賞。
葵が拓也にレイプされてしまう、おそらく全編を通した起承転結のうち“起”の部分なんでしょう。
つくづく思うのは、本作には真の悪人というものが(今のところ)登場しません。せいぜい、聖子のヒモをやってる元ボクサー崩れのヤクザな人くらい? まぁ、あれは悪人というよりクズか(笑)。
一見すれば、本作のストーリーを大きく動かすキーパーソンである拓也が大悪人に思われがちなんですが…。
拓也には拓也なりの苦しみや悲しみがあり、これまで欲しいものも手に入れられない、諦めや忍耐ばかりの人生でした。
そんな拓也が心底より手に入れたいと願ったのが葵で、これまで堪えてきた全てを生まれて初めて爆発させてしまった。そこには宗次郎へに対する当て付けがましい気持ちはなく(これがあったら邪悪)、ただ純粋に葵を欲しがりすぎたが故の衝動なのです。
そんな拓也の事情を見ていれば、犯罪者には違いないものの、悪人までとは断じにくいんですよね。その後の大後悔っぷりから、かなり猛省しているようだし。
…と、この辺、あくまでドラマというフィクションである事を前提として綴っていますからね? 昨今では虚実の境が付かない=ドラマの見方を知らない大きなお友達が増えているのでねー。
そんな拓也と、葵を巡ってバチバチになるのが宗次郎。
これが本当にいいヤツでね。常に葵を気に掛けているだけでなく、拓也の葵へを想いを知りながらも明るく接するのは若いながらも人間ができてるよなぁ(笑)。
葵と相思相愛な関係になった直後に例の事件が起き、拓也をブッ殺したいほど憎む気持ちがあっても、そこまで非情になれない優しさが痛々しくてね。
そんな宗次郎と、愛していながら卑怯な手段で葵を穢[ケガ]してしまった悔悟の念に駆られる拓也との、涙をボロボロ流しながらの決闘は、まさに“悲闘”と呼ぶに相応しい印象に残るシーンです。胸が苦しくなるので名シーンとは呼べませんが…。
本作を含む、この頃の大映ドラマは主題歌がいいのは常々言っていますが、使いどころも絶妙なんですよね。
様々な出来事があったけど、今回もあと3分を残すのみ……と思っているところに、クロージングとして主題歌が流れるのは不吉の予兆というか(笑)、次回に引っ張る新たな事件が勃発する事を意味します。
こういう黄金パターンに釣られ、否応なしにも次回が気になってしまう……大映ドラマの中毒性はこういうところにあるんだぜ!
スーパー余談ながら……今回の再放送に合わせて杉浦幸さんが本作について綴ってくれているのは、俺ッチの一人盛り上がりを後押ししてくれるみたいで嬉しいです。
ウン十年振りの岡本健一さんとのツーショットは激アツっ…!
杉浦さんの知る限り、実は本作が再放送されるのって今回が初(!)なんだそうですね……長生きはするものだなぁ。