観た、『新・暴れん坊将軍』 | Joon's blog

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ついに放送と相成った『新・暴れん坊将軍』を観ました。

 

享保の大飢饉に始まる江戸の不況、さらには世継ぎの問題をも抱え、徳川家八代将軍である吉宗は頭を悩ませる日々が続いていた。

吉宗は徳田新之助として江戸の町に出向き、顔馴染みの面々と久しぶりの再会を果たす中、徳川家のやり方に異議を唱える徳長福太郎[トクナガ・トミタロウ]という若者に出会う。その顔が吉宗の嫡男である家重[イエシゲ]に瓜二つである事に驚く吉宗。

一方、父の不義によるお家取り潰しを免れながらも、密かに吉宗に恨みを抱く旗本の本間は、紀州徳川家と犬猿の仲である尾張徳川家の宗春[ムネハル]をそそのかし、戦争を引き起こした上で吉宗の打倒を図るが……といったお話。

 

近年、ウン十年ぶりの続編が流行っていますが、まさか『暴れん坊将軍』がそのブームに乗っかるとは。長年のスパンを空けて主人公の息子を登場させる息子商法とか、そろそろ飽き飽きなんだよ。

これと反対に、過去のシリーズにゆかりのあるキャラや俳優を出さなかったのは好印象。懐かし要素を出して安っぽい人気取りをしなかったのは潔かったですね。

ストーリー的にも現代の日本が抱える社会問題を扱い、遠回しながらに政治を風刺するのも、あたかも時代劇っぽいメッセージの伝え方に思えます。『暴れん坊将軍』という作品は人々の上に立つ者の心構えや覚悟を説く寓話でもあるから、これを忘れなかったのは良かったです。本当はダモクレスの剣という言葉を使いたかっただろうな。

 

シリーズ全作の9割くらいは見た、それだけ『暴れん坊将軍』という作品の雰囲気を味わっている身からすると、どうしても違和感が否めません。

脚本のセリフ回しだけでなく、特に若い俳優の喋り方とか、どことなく現代劇っぽさが強めに思えてね。

もちろん実際の江戸時代における人々の言葉遣いなんか誰も知り得ないし、ある程度は現代語に変換しなければ何を話しているのかも分かんないけど、現代語に寄せすぎている印象が強いように思えました。

 

そう思わせるのが本作のキーパーソン、吉宗の長男である家重。

ツッパって見せてはいながらも胸の奥には熱い思いを秘めているというキャラは嫌いじゃないけど、そういうのって時代劇には向いてないんですよ。吉宗の息子でありながらチト育ちが悪いというアンバランスさを狙っての事なんだろうね。

演じる西畑大吾さんが頑張っているのは分かるけど、時代劇にはまだまだ不慣れなのが見て取れます。こういう若い芽を摘むのは容易いけど、それじゃ時代劇は絶滅しますからね。時代劇を後世に残すには、若い俳優たちにまず場数を踏ませてやるのが大事だと考えます。

それを踏まえた上で、タイトル通り『新・暴れん坊将軍』として新章を始めるのであれば、親子で身分を偽って江戸の町に出るのは必定であり、面白くなりそうなシチュエーションに思えます。

ちなみに、家重が城下町に出向く際の偽名は“徳山福太郎”と書いて“とくやまとみたろう”と読むそうです。昨今の漫画系にありがちだけど、ペダンチックというか、こういう読み方を知っている自分スゲー的な根性が見え隠れする作家が増えましたね。キラキラネームの一歩手前である事に気付けよと。

 

吉宗最大のライバルである宗春を演じるGACKTさんのキャスティングには賛否両論あるでしょうが、俺ッチは”否”側の人間です。“否”というより“苦手”かな。

吉宗を見下している表れか、常に不敵な笑みを浮かべているのが不気味だけど、あのニヤけ顔がどうも受け入れ難くてね。

ちょっと気の毒どころか不可抗力な話ながら、オリジナル版で宗春を演じていた中尾彬さんの個性が強烈すぎて、あのインパクトを超えるのは無理に近いくらいに難しいと思うんですよ(西岡徳馬さんですら物足りなかったように思う)。

中尾さんが宗春を演じる事はもうあり得ないとは言え、ああいう傾奇者のようなキャラ変は今風というか、漫画チックでどうもね。

にしても、あの鍛え抜いた肉体美にはただただ脱帽! よくよく考えると、あの筋トレのシーンは何だったんだろう…(笑)。

 

注目ポイントの一つでもある音楽面は及第点ギリギリ。

が、クライマックスの大殺陣で使われる例の音楽に関しては、及第点をあげられないどころか失格です。あんなヘボいアレンジでテンション上がります? 『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』で使われていた同曲のアレンジもヒドいものでしたが…。

オリジナル版で音楽を担当していた菊池俊輔さんをクレジットするなら、あれに関してのみオリジナル版をそのまんま使っても良かった、否、使った方が良かったと思います。久しぶりの新作だから見るという人の9割は、あれを期待してるんだよ!

あんなのを2回も使うくらいなら、初代シリーズにあったもう一つの大殺陣の音楽(ドラムが利いてるやつ)を復活させても良かったんじゃない?

ところで、スーパー余談ながら…。

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元々歌詞があっても不思議じゃない楽曲ですが、半オフィシャルでこんなものがあったなんて…!

 

そして、個人的にグッと来たのは、お庭番の八兵衛というキャラ。

この相関図(orキャラ紹介)にはキチンとした記載がありませんが、この八兵衛の姓はななんと薮田[ヤブタ]!

これは絶対、みんな大好き初代お庭番の薮田助八[ヤブタ・スケハチ]のオマージュ、もしくは助八の近親者なんだろうなと、一人で勝手に熱くなっている俺ッチであった。 つづく