『シンドバッド7回目の航海』を観ました。
航海を終えようとしていたシンドバッドの船は、食料や水を求めて小さな島に辿り着く。
船員らと共に上陸したシンドバッドは一つ目の巨人に遭遇。巨人に追われていたソクラを救出し、島を脱出する。巨人から盗んだランプを奪い返されたソクラは島に戻りたがるが、平和を望むシンドバッドはこれを拒否し、故郷バグダッドへの帰路に就く。
バグダッドに帰還したシンドバッドは、チャンドラのパリス姫との結婚を間近に控えていた。魔術師のソクラはパリスに魔法をかけ、彼女の体を小さくしてしまう。
ソクラの言う通りにせざるを得なくなったシンドバッドは、パリスを元に戻すために必要な怪鳥ロクの卵の殻を手に入れるため、ソクラを連れて再びあの島に向かう。そこには例の巨人を始め、様々な怪物が生息していて……といったお話。
人間の身体をベースにした着ぐるみでは表現できないような異形のモンスターをミニチュアで作り、それをひとコマづつ動かして撮影するストップモーションアニメの第一人者、レイ・ハリーハウゼンさんがそんな特撮=ダイナメーションを担当する作品です。
監督はネイザン・ジュランさんという方ですが、ハリーハウゼンさんが関わる作品は監督の名が霞んでしまうというね(笑)。
ちょっとビックリしたのは本作は1958年の作品という点。映像技術を鑑みるに、てっきり60年代後半くらいかと思ってたんですよ。
そんなダイナメーションも、昨今の若い人がこれを見れば、モンスターがカクカク動く姿に古臭さを感じ、一笑に付してしまうんでしょう。
確かに、昨今の緻密で滑らかなCGに比べれば迫力に欠けるのは明らかです。
ただ、もし目の当たりにする機会があったなら、モンスターの動きをじっくり見て下さい。
例えばモンスターが歩くシーンがあったとして、動いているのは脚だけではなく、その他のどこかしらの部位もいちいち動いている事に気付くはずです。本作で言えばドラゴンの尻尾とか、常にウネウネ動いている上に動きも滑らか。
ロボットではなくモンスター=生物ですから、何かしらにリアクションの芝居を付けているのも芸が細かい。
――これらを、少しづつミニチュアを動かしながら1コマづつ撮っていくのって、スゲー気が遠くなる作業だと想像できませんか?
さらに言えば、人間との合成ショットも正確で、人間が投げた槍がミニチュアのそれに刺さるカットとか、どうやって撮っているんだろうと思わせます。
当時よりは遥かに能率よく撮影できるでしょうから、現代にダイナメーションが復活!なんて作品があってもいいですよね。
という事で、そんなダイナメーション満載のシンドバッドシリーズの第1弾です。“7回目の~”と謳ってるけど、7作目ではないのでお気にせず(笑)。
船乗りのシンドバッドが未踏の地に向かい、姫を守りながら未知の生物たちと戦う……というTHE冒険活劇です。
深みのあるストーリーでもないし、どちらかと言うまでもなくモンスター映画ですから、単純&純粋にハラハラ&ドキドキを楽しめればそれが最高です。
ヒロインでありながら、今作最大の被害者でもあるパリス姫。
インドの民族衣装のチョリっていうんですかね、ヘソ出しのやつ。衣装だけでなくキャラとしても可愛いんですよ。
ソクラの魔法により小さくされてしまったものの、悲しんだり困った様子もなくケロッとしているどころか、この状況を楽しんでいるかのように明るいままなんですよね。小さいままでもキチンと役割を果たすし、お転婆なところが魅力です。
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Blu-ray版は映像特典満載。当時を振り返るインタビューが興味深いですね。
…にしてもさ~、シンドバッドシリーズは3作あるのにBlu-rayは本作しか売ってないんだよね(大昔に高っけーBOXで3作分出てた気が)。
『アルゴ探検隊の大冒険』も含め再販しておくれよ、ソニー……いや、ハピネットさんよ!